住宅購入の費用・税金/住宅購入費用・予算

親や親戚からの借金/ココに注意

住宅を購入するときに親や親戚などからの資金援助は助かりますが、安易な借金は禁物です。税務署から「贈与ではないか」と疑われないために必要なポイントをまとめました。(2017年改訂版、初出:2004年7月)

執筆者:平野 雅之

【ガイドの不動産売買基礎講座 No.104】

住宅を購入するとき、親や祖父母、親戚などから資金援助があれば助かります。

「援助はいらない」「自分のチカラだけで購入する」という人も少なからずいらっしゃるでしょうが、自己資金として扱うことができるほか、面倒な手続きや借入れ費用が不要、連帯保証人も不要など、資金援助のメリットは大きいものです。

父母や祖父母からの資金援助であれば贈与による方法もありますが、贈与ではなく借金としたほうがよいケースもあります。また、親戚からの資金援助であれば、初めから借金にすることを前提として考える場合も多いでしょう。

しかし、安易な借金は禁物です。いくら当人同士は貸し借りのつもりでも、あるとき払いの催促なしでは、実質的な贈与とみなされてしまいます。そこで今回は、親や親戚などから住宅購入資金を借りる場合の注意事項をまとめてみました。


借入れ書類をつくること

まず大切なのが、借入れの証拠となる書類を作成しておくことです。書類の名称は「借用書」でも「借入れ証書」でも「返済約定書」でも、堅く「金銭消費貸借契約書」でも構いません。

書類には借入れ金額と返済方法(毎月いくらずつの返済で何か月払いか、返済は振込みか持参かなど)、それに元本に付加して支払う利息の金額(利率)を記載することが必要です。

利息は「個人同士の金銭貸借における民法上の法定利息(5%)を基準に考えるべきで、あまりに低率の場合には法定利息との差額が贈与とみなされる」と従来はいわれていましたが、超低金利の現在ではあまり気にする必要もないでしょう。

ただし、明確な基準はありませんから、事前に税務署などで確認しておけば確実です。


返済の証拠を残すこと

借入れの書類とともに大切なのが、返済事実を示す証拠です。銀行振込みで返済する場合には、銀行の機械から出てくる振込書(ご利用明細)や相手側の通帳で確認することができます。

しかし、手渡しで返済する場合にはその都度、領収書を書いてもらうなどの対応をしなければなりません。アパートの家賃などに使われる「判取り帳」のようなもの(市販されています)でも大丈夫です。

また、返済は金銭によることが大原則です。返済代わりに親の介護をするとか、生活の面倒をみてあげるというのではいけません。


資金源にも注意が必要

借りる相手が親戚などのときには聞きづらい場合もあるでしょうが、その資金が脱税や闇ルートによるものであっては大変です。イザというときのことを考えると、きちんと申告をしたうえでの正当な資金かどうか、借りる相手にしっかりと確認しておきたいところです。

「貸してくれ」と頼んでおいて、「それはまともなお金?」と聞くのも失礼な話ですが……。

それと同時に、借りる側の返済能力も大切です。たとえば、月収30万円の人が銀行ローンと合わせて毎月40万円を返済するような内容では、当然ながら税務署は疑いを持ちます。


親などの年齢にも注意すること

もし、現在90歳の父親から30年返済の約束で借金をした場合にはどうでしょうか? もちろん父親が120歳まで生きる可能性がまったくないとはいえませんが、常識的に考えれば完済時まで生きるのは無理でしょう。

このような場合には、当初から返済の意思がないものとみなされて、贈与税課税の対象とされかねません。何歳までの親などから、何年までの借金ならばOKというような明確な判断基準などはありませんが、第三者からみても不自然さのないようにしておくことがポイントです。


関連記事

不動産売買お役立ち記事 INDEX
ガイドの不動産売買基礎講座 INDEX

住宅購入資金を借りたときの借用書の作り方
贈与か借金か、住宅取得資金の援助を受ける際の考え方
不動産の取得後に税務署から「お尋ね」が来たら?

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます