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不動産競売の落札価額を検証する(3ページ目)

不動産の競売に参加する人は多くても、落札できる人はごくわずか。ところで、その落札価額は一般の中古相場と比べてどの程度安いのか、実際の事例をもとに調べてみました。皆さんにとってはかなり意外な結果かも!?

執筆者:平野 雅之


落札の結果は・・・?

さて、気になる落札の結果はどうだったのでしょうか? まずはデータをご覧いただきましょう。

落札価額との比較
物件
通常の売買による
成約見込み価額(再掲)
最低売却価額(再掲)
落札価額
2,630万円
2,040万円
2,730万円
2,170万円
1,050万円
2,190万円
2,600万円
1,530万円
2,450万円
1,510万円
1,120万円
1,560万円
1,000万円
820万円
920万円
1,430万円
1,150万円
1,240万円
790万円
580万円
820万円
1,170万円
630万円
1,110万円
1,270万円
940万円
1,130万円

落札価額の赤い数字部分は、私が算出した通常の中古市場における成約見込み価額よりも高く落札されたものです。つまり競売によって取得するメリットは何もなかったことになります。それ以外の物件でも 「競売で安く買えた!」 と実感できるほどの物件は、ごく限られているのが分かるでしょう。安値で買えたものと勘違いして喜んでいる人はいるかもしれませんけどね。

今回の検証物件数だけでは、はっきりとした傾向を掴むことはできませんが、いずれにせよ競売で成功するのはかなり狭き門でしょう。不動産業者が参加してもなかなか成功しないのですから・・・。東京都区部以外ではまた違った結果 (一般の人が普通に安く落札できる等々) になるところがあるでしょうけどね。

しかし、 「競売で高値の入札をして失敗した人が多い」 と思うのも早計。今回は買受人の内容まで調べていませんのでその実数は分かりませんが、高値によって落札される物件の多くは 「自己競落」 によるものだとも言われています。つまり、競売を申し立てた金融機関の系列会社や子会社が、 “一般の人では手を出さないような高値” (といっても債権額以内) で落札し、それを通常の物件として中古市場で販売します。落札した代金は金融機関がそのまま回収しますから、 (単純にいえば) いくら高値で落札しようが金融機関のグループ内では差し引きゼロとなり、通常の中古市場において、一般の人に競売で落札されるよりも高く売れれば、現実の回収金額も高くなるわけです。実際はもっと複雑でしょうけどね。

つまり、競売に出されていても当初から一般の人が落札できる見込みのない物件も数多く含まれているのが現実。 「自己競落」 の対象となる物件には、ある一定の条件が必要となりますが、それを一般の人が見極めることはなかなか難しいことでしょう。無闇に競売に参加し続ける前に、競売を専門に取扱う業者の意見やアドバイスを取り入れることが成功の秘訣かもしれませんね。もちろん、信頼できる専門業者であることが前提です。



page1 ≪検証の方法と手順
page2 ≪競売物件をふつうに売却すると?
page3 ≪落札結果はどうだったのか?≫



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