その他の諸費用
前のページで住宅取得にかかる各種の税金や手数料、住宅ローンの借入れに伴う諸費用などを説明しましたが、まだまだこれだけでは終わらないのが辛いところです。想定外の出費で慌てないように、事前にしっかりとチェックしておきましょう。□ 住宅用家屋証明書取得費用
登録免許税の軽減を受けるためには住宅用家屋証明書(専用住宅証明書または既存住宅証明書)が必要です。
取得した住宅が所在する自治体の担当窓口で取得しますが、新築住宅の場合(専用住宅証明書)と中古住宅の場合(既存住宅証明書)で、担当部署が異なる自治体もありますから注意しなければなりません。
ただし、宅地建物取引業者または司法書士が代行して取得するケースが多いほか、業者が取得したときにはその費用を買主に請求しないこともあります。
(1,300円程度…自治体により異なる場合があります)
□ 耐震基準適合証明書取得費用
築25年を超える中古マンションまたは築20年を超える木造一戸建て住宅などを購入するとき、それが新耐震基準に適合するものであれば税金の軽減を受けられる場合もありますが、そのためには耐震基準適合証明書などが必要です。
この申請手続き自体は売主が行なうべきものですが、買主の要求に基づいて耐震基準適合証明書を取得した場合には、相応の費用負担を求められることも考えられます。
□ 耐震診断費用
中古の一戸建て住宅を購入するときには、税金とは関係なく、できるかぎり耐震診断を受けたほうが望ましいでしょう。その費用を売主が負担するのか買主が負担するのかはとくに決まりがなく、契約時の取り決めによります。
事前に売主が耐震診断を受けていればよいのですが、物件の引き渡しを受けてから買主が独自に耐震診断を受けることもあるでしょう。
しかし、瑕疵担保責任との絡みで非常に難しい面がありますから、可能であれば費用負担の問題と併せ「耐震診断の結果により契約をどうするのか」といった取り決めをするようにします。
□ 建物検査(インスペクション)費用
近年、さまざまな場面でインスペクションの活用が進んでいます。その費用を売主や宅地建物取引業者が負担することもありますが、買主からの依頼(買主負担)によるインスペクションのほうが、公平性・中立性をもった診断結果になるでしょう。
依頼先や建物の大きさなどによって費用は異なりますが、目視を中心とした検査なら10万円以内で収まることが多いようです。
□ 住民票/印鑑証明書取得費用
住宅ローンの申込みや登記申請の際に必要となります。あらかじめそれぞれの必要通数を宅地建物取引業者の担当者に確認したうえで、まとめて取得しておけば楽なのですが(ただし決済前3か月以内)、登記申請に添付するものについては直前に住所を異動させてから取得するケースもあるため、段取りをよく確認しておくことが必要です。
□ 実印作製費用
ほとんどの人は既に実印をお持ちでしょうが、もし実印がなければあらかじめ作製しておかなければなりません。買主の場合、売買契約書への押印は認印でも構いませんが、住宅ローンの手続き(抵当権設定の手続きを含む)では実印が必要となってきます。
共有名義の場合であれば、もちろん全員分が必要です。
□ 登記事項証明書代
登記完了後の登記事項証明書などを受け取るために、通常は司法書士への報酬と併せて支払います。登記事項証明書は書面請求の場合に1通600円(土地・建物で合わせて2通)ですが、取得実費とは別に郵送手数料や取得手数料などが加算される場合もあります。
□ 各種の清算金
固定資産税や都市計画税、マンションの管理費や修繕積立金、土地の権利が借地権の場合における地代、私道負担金、町内会費などの諸費用を、引き渡し日を境として日割り(または月割り)で清算します。
マンションの場合には、さらに駐車場・自転車置場・バイク置場・ルーフバルコニーなどの専用使用料、インターネット設備・CATVの使用料などが清算対象に加わることもあります。
※ 参照 ≪住宅購入時における固定資産税等の清算≫
□ 各種の一時金
新築分譲マンションの場合の管理準備基金(管理準備金)や修繕積立基金、新築一戸建て住宅の場合の水道加入金(水道施設負担金)、その他契約に基づく費用など、購入時に一時金が必要となる場合もあります。
水道加入金は自治体や事業主体によって異なるほか、設置する水道メーターの口径によっても異なるので注意が必要です。東京都など水道加入金の負担がない自治体がある一方で、通常の口径(20ミリ)でも30万円ほどの負担を求められる自治体などもあります。
なお、ハウスメーカーなどで家を建てる場合には、水道負担金が「別途工事費」の中に含まれていることも多いでしょう。
中古住宅であれば水道加入金などは不要ですが、売主によっては(権利金的な発想で)新築時に支払ったのと同額の負担を請求してくるケースもありますから、契約締結前にしっかりと確認しなければなりません。
また、稀なケースでしょうが「水道加入金を支払って取り付けた水道メーターは自分のものだ」という意識から、水道メーターを自分で取り外して新居に持っていってしまう売主もいるようです。最悪の場合には、新たにメーターなどを取り付けるための費用が発生します。
なお、中古住宅であっても水道の増径工事をするときには、水道加入金の差額が必要になるケースが多いでしょう。
※ 参照 ≪水道加入金は売買代金と別に払うものなの?≫
また、町内会や自治会の一時金として転入者から数十万円の金銭を(半ば強制的に)徴収するところも、全国の中にはいくつかあるのだそうです。
それぞれが抱える事情もあるでしょうから、それが正当か不当かの判断はできませんが、新旧住民の間で支払いをめぐるトラブルになっているケースもあるようなので注意が欠かせません。
□ 振込手数料/預手発行手数料
中古住宅を購入する場合、契約時の手付金や決済時の各種清算金、司法書士への報酬、媒介手数料などは現金で支払うケースが多いものの、残代金は金額が大きいため「預手(よて)」で支払うか、もしくはその場で振込み手続きをすることが大半です。
また、新築住宅を購入する場合(とくに新築分譲マンションの場合)には、諸費用を含めてほとんどの支払いを “事前に” 指定口座へ振込むことで済ませるケースも多く、振込み先や振込み回数が多いと振込手数料もそれなりにかさみます。
※ 参照 ≪「よて」って何のこと?≫
□ リフォーム費用/清掃費用
中古住宅を購入するときには、購入諸費用とは別にある程度の(場合によってはそれなりに高額の)リフォーム・リノベーション費用を見込んでおくことが必要です。
仮にリフォームをしないで入居できる物件だったとしても、入居前には専門業者による徹底した清掃を行なったほうがよいケースもあるでしょう。
□ 耐震補強工事費用
耐震性に問題のある中古住宅だった場合には、その補強工事などのために相当な費用を要することがあります。早急な除去が必要とされるアスベストが使われていた場合も同様です。
売買契約を締結する前に明確な取り決めをしておけば、売主にある程度の費用負担を求めることもできるでしょうが、何ら取り決めがないままで後から請求しても、なかなか簡単には解決できません。
□ 老朽設備の取り替え費用
ある程度の築年数を経過した中古住宅の場合には、耐用年数を大きく超えた設備機器がそのまま使われていることがあります。
とくに、それがガス機器や電気機器だったときは「まだ使えるから」とそのままにするのではなく、入居前に取り替えたほうがよい(または取り替えるべき)場合もあるでしょう。
この費用はすべて買主負担となるケースが多いので、契約前の詳細な確認が重要です。
□ 引越し費用/家具などの購入費用
引越し業者へ支払う費用のほか、家具、調度品や家電製品などの購入費用も見込んでおかなければなりません。新居にあわせて家具を揃える場合などはかなりの出費を伴い、あらかじめ見込んだ予算額を軽く超えてしまうケースも多いようです。
新築物件でも照明器具やカーテン、エアコンなどは付いていないことが多く、物件によっては網戸が付いていないこともあります。どのような物件であれ、付帯設備の内容をあらかじめよく確認しておかなければなりません。
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