資力確保措置は、保険か供託で

住宅瑕疵担保履行法による資力確保措置は、保険への加入(国土交通大臣の指定する住宅瑕疵担保責任保険法人が取り扱う保険)または保証金の供託(法務局などの供託所へ供給戸数に応じた金額を預ける)のどちらかに定められています。そのどちらを選ぶのかは事業者の任意(物件ごとに変えることも可)です。

保険の場合には、対象の住宅に瑕疵が生じて事業者が補修などをすれば、“その事業者に対して” 保険金が支払われます。そして補修などの責任を負うべき事業者が倒産などしたために対応できない場合には、新築住宅の取得者が保険法人に対して費用(保険金)を直接請求できることになっています。

供託の場合も同様に、事業者が倒産していて瑕疵の補修などができない場合には、新築住宅の取得者が供託所に対して費用の還付請求をすることができます。

なお、保険の場合には工事中に保険法人の検査を受ける必要があるため、工事着工前の申し込みが必須となっています。


資力確保措置は、誰がする?

住宅瑕疵担保履行法による資力確保措置(保険加入もしくは供託)が義務付けられるのは、新築マンションや建売住宅ならその売主業者(宅地建物取引業者)、注文住宅ならハウスメーカーや工務店など(建設業者)となっています。つまり、消費者との間で売買契約や請負契約を交わす相手方当事者だと考えて差し支えないでしょう。

国土交通省の解説をみると、資力確保措置の義務があるのは「新築住宅の請負人または売主のうち、建設業法に基づく建設業の許可を受けた建設業者と、宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業の免許を受けた宅地建物取引業者」となっていますが、それ以前の問題として、無免許の宅地建物取引業者から分譲住宅を購入するようなことがないようにしたいものです。


資力確保措置の費用は?

資力確保措置
保険でも供託でも、それなりの費用が必要。住宅価格への影響は?
資力確保措置の費用を新築住宅の買主や注文者が直接支払うわけではありませんが、参考までに。

保険の場合には、10年間の保険料を一括して前払い(掛け捨て)するもので、新築一戸建て住宅なら6~9万円程度、新築マンションなら1戸あたり4~6万円程度です。ただし、保険法人による違いや、床面積やマンションの規模による違いのほか、一定条件を満たす事業者への割引などもあって、一概に保険料がいくらとはいえません。

一方、供託の場合には、1戸めのときが2,000万円(!)で、2戸めはプラス200万円(合計2,200万円、1戸あたり1,100万円)となっています。供給戸数10戸までが1戸あたりプラス200万円、10戸超50戸以下が1戸あたりプラス80万円、以降も段階的に低減されていき、5,000戸超1万戸以下が1戸あたりプラス2万円、30万戸以上になると1戸あたりプラス12,000円のような仕組みで、供給戸数がある程度多ければ供託のほうが安上がりです。

この算定基準となる供給戸数は、住宅瑕疵担保履行法の施行日(2009年10月1日)から10年間は施行日以降の累積戸数、それ以降は年2回の基準日前10年間の累積戸数となります。

1年間に数戸を供給する程度の建売業者にとっては、供託をする場合の負担が大きすぎるため、保険を選ぶケースが大半のようです。なお、この資力確保措置の費用(保険料または供託金)について国土交通省は、「住宅価格に転嫁することも可能」との指針を示しています。


瑕疵担保責任の範囲は?

住宅瑕疵担保履行法は事業者の瑕疵担保責任の範囲を新たに定めるものではなく、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)による「10年間の瑕疵担保責任」が確実に履行されることを目的としたものです。したがって、瑕疵担保責任の範囲は品確法と同じく「構造耐力上主要な部分」および「雨水の浸入を防止する部分」であり、その責任期間も品確法と同じく10年間です。

この瑕疵担保責任の規定は分かりづらい部分も多いのですが、品確法に関する詳しい説明は機会を改めてお届けすることにしましょう。


補償の限度額は?

事業者が保険に加入している場合でも、支払われる保険金(事業者が倒産した場合は新築住宅の取得者へ直接支払われる)の上限額は1戸あたり2,000万円となっています。また、一戸建て住宅の場合にはオプションで限度額を5,000万円まで引き上げることもできるようになっていますが、これはあくまでも事業者と保険法人との契約内容次第です。

瑕疵担保責任によって補修の必要が生じた場合でも、たいていはその補修費用が2,000万円以内で済むものと考えられるため、上限額が設定されていることによって不利益をこうむる可能性は低いでしょう。ただし、1被保険者(契約する事業者)あたりの合計限度額、マンションなど1棟あたりの合計限度額も設定されています。そのため、建て替えが必要となるような重大な瑕疵が生じた場合、あるいは同じ事業者が瑕疵物件をいくつも抱えたような場合などには補償が十分に行なわれないこともあり得ますから、まだまだ100%安心できる制度だとはいえないようです。

なお、住宅瑕疵担保履行法による保険付き住宅を取得した場合には、事業者との間で問題が生じたときに住宅紛争処理支援センターの無料電話相談や、指定住宅紛争処理機関(全国の弁護士会)による紛争処理手続き(あっせん・調停・仲裁など)を1万円の費用で利用することができます。供託の場合にはこのような “特典” は用意されていませんが、それ以前に紛争が生じないような住宅を取得したいものですね。


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