宅地建物取引業法詳説〔売買編〕の第13回は、第33条(広告の開始時期の制限)および第33条の2(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)についてみていくことにしましょう。

 (広告の開始時期の制限)
第33条  宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項 又は第二項 の許可、建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項 の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
 
 (自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)
第33条の2  宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
   宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)を締結しているときその他宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得できることが明らかな場合で国土交通省令・内閣府令で定めるとき。
   当該宅地又は建物の売買が第四十一条第一項に規定する売買に該当する場合で当該売買に関して同項第一号又は第二号に掲げる措置が講じられているとき。

建築確認などを受ける前の広告は不可

第33条に規定されている「広告の開始時期の制限」とは、未完成物件、いわゆる青田売りの物件において、都市計画法による開発許可や建築基準法による建築確認などを受ける前の時点での広告を禁止したものです。そのため、たとえば建築工事中や着工前の建売住宅やマンションであれば、広告に建築確認番号が記載されています。

すでに造成工事が完了している宅地の分譲、建築工事完了済みの新築住宅の分譲、あるいは中古住宅の売買などにはこの制限の適用がありません。ただし、中古住宅でも建築確認を必要とする規模のリフォームや増改築などを前提とした内容で広告をするときには、この制限の適用を受ける場合があります。

広告開始前に許可などが必要なものとして、政令には全部で33種類の法律が列挙されていますが、都市計画法や建築基準法以外で該当するケースが比較的多いのは、土地区画整理法宅地造成等規制法ぐらいで、その他の法律による許可などが必要になることはそれほどありません。

物件によって必要とされる一連の許可などを受けた後であれば、原則として「法律の制限によって、造成できない、建築できない」という事態は起こらないはずであり、物件の広告、つまり販売活動が開始されたとしても、消費者が不測の損害を被る可能性は低くなります。もっとも、行政訴訟などによる建築確認の取消し、住民の反対運動などによる建設工事ストップなどといった事例もときどき報道されていますが…。

なお、いったん建築確認を受けた後、設計変更などによって建築確認を受け直す場合があります。このようなとき、変更の確認を受ける前(またはその申請をする前)であっても、当初の内容のままでの広告を継続することや、当初の内容と変更後の予定内容を併記して「変更の確認を受ける予定である」という旨の表示をした広告は認められています。

同様に、セレクトプラン(選択した間取りなどによっては、建築確認の変更が必要)による販売や、マンションのスケルトン・インフィルによる販売などの場合には、「変更の確認を受けることが必要となる場合がある」などの表示をして広告をすることが認められています。

他人の家を売買できる!?

第33条の2は、自己の所有ではない宅地や建物の売買、いわゆる「他人物売買」について、宅地建物取引業者が売主となる売買契約に制限を設けたものです。

民法上では、他人が所有する物でも、自分が売主として第三者に売却することができます……と聞くと奇異に感じる人もいるでしょうが、たとえばお店へ行って欲しい商品の在庫がなかったとき、予約や取り寄せをお願いして、その場で代金を支払うこともあるでしょう。その時点でその商品はお店の物ではなく、他人(メーカーや問屋など)の物ですが、その後に仕入れることを前提として先に販売をしているわけです。

不動産の場合も同じで、先に売ってから対象の物件を仕入れることも法律上は認められています。たとえば、あなたが売主として鳩山家の屋敷を第三者に売ることもできるわけです(おとり広告に該当するので、広告をすることはできませんが…)。売った後にそれを仕入れて(買収して)買主に引き渡せばよいのであり、それができなければ債務不履行などの責任を問われることになります。

しかし、宅地建物取引業者に対してそのような契約を無制限に認めれば、買主となる一般消費者との間で大きな問題が起きることは間違いありません。そこで、宅地建物取引業者が売主となる売買契約(売買の予約を含む)については、一定の場合を除いて他人物売買を禁止しています。

宅地建物取引業者が売主となる他人物売買が認められるのは、対象となる土地や建物を宅地建物取引業者が取得する契約(停止条件付契約を除く)を先に締結している場合のほか、国土交通省令に定められた法律の要件(許可など)によって宅地建物取引業者による取得が明らかな場合となっています。

なお、建築工事中のマンションや一戸建て住宅なども、売主となる宅地建物業者の「自己の所有に属しない」ものとされます。しかし、通常は請負契約などによって工事完了後は売主の宅地建物取引業者へ引き渡されることになっているので問題はありません。仮に請負契約などがなくても、宅地建物取引業法第41条による「手付金等の保全措置」を講じれば、未完成物件の売買契約ができることになっています。

ちなみに、宅地建物取引業者間の取引においては第33条の2による制限の適用がないため、他人の土地や建物を自由に売買できます……などと書けば誤解を招くかもしれませんが、裏を返せば宅地建物取引業者同士で怪しげな取引に手を出して一方が騙されても、宅地建物取引業法では保護をしないということです。

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