世界遺産/インドの世界遺産

エローラ石窟群/インド(3ページ目)

聖山カイラスに住むシヴァ神を祀るため、100年の期間とインド工芸の粋を集めて造られたカイラーサナータ寺院。今回はこの世界でもっとも美しい石窟寺院で有名なインドの世界遺産「エローラ石窟群」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

エローラ第13~29窟:ヒンドゥー教窟

カイラーサナータ寺院本殿に祀られたシヴァ・リンガ。リンガは男性器、土台のヨーニは女性器を表し、世界が生命力溢れた神の子宮にあることを示す ©牧哲雄

カイラーサナータ寺院本殿に祀られたシヴァ・リンガ。リンガは男性器、土台のヨーニは女性器を表し、世界が生命力溢れた神の子宮にあることを示す ©牧哲雄

象に水をかけられるヴィシュヌの妃ラクシュミー。カイラーサナータ寺院のレリーフ ©牧哲雄

象に水をかけられるヴィシュヌの妃ラクシュミー。カイラーサナータ寺院のレリーフ ©牧哲雄

ヒンドゥー教窟は7~9世紀に建てられたもので、一部は仏教窟と時代が重なっている。仏教窟が瞑想や生活のための静かな空間だったのに対して、神々の像やレリーフが彫られ、にぎやかなのがヒンドゥー教窟の特徴だ。特に第14~16窟の神像とレリーフはアンコールにも匹敵する精緻なもので、ヒンドゥー教工芸の極致ともいわれている。

第16窟のカイラーサナータ寺院の他に有名なのは、ヴィシュヌ神の10の化身を描いた第15窟のダシャーヴァターラ窟や、ドゥバーラパーラと呼ばれる神々の彫像が見下ろす第29窟のドゥマル・レナ窟だ。

 

エローラ第30~34窟:ジャイナ教窟

天井に蓮の花が彫られた第32窟チョーター・カイラーサの内部。ジャイナ教の立像は生々しい特有の曲線を見せる ©牧哲雄

天井に蓮の花が彫られた第32窟チョーター・カイラーサの内部。ジャイナ教の立像は特有の生々しい曲線を見せる ©牧哲雄

もともとジャイナ教は古代仏教と同じく無神論的で、どちらかといえば宗教というより哲学に近いものだった。しかしこの時代にはヒンドゥー教の影響を大きく受けて、やはり多くの神像やレリーフを残している。

石窟は9~10世紀の建立で、窓や廊下を広くとった明るい空間が特徴だ。第32~34窟がつながった構造や、繊細な彫刻などのきめ細かな造りから、規模は小さいものの美しさはヒンドゥー教窟を凌ぐともいわれる。有名なのは第32窟のチョーター・カイラーサ(小カイラーサナータ)や第34窟。
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