ティカルとピラミッドとマヤの宇宙観
タルー・タブレロ型神殿。タルー(傾斜面)とタブレロ(垂直面)を重ねたピラミッドは、テオティワカンのピラミッドにそっくり ©牧哲雄
メインはグラン・プラザ(中央広場)周辺で、広場を中心に、神殿や墓地のあるノース・アクロポリス、主に住居や宮殿として使われていた中央アクロポリス、そしてふたつのピラミッド=I号神殿とII号神殿が向かい合って並んでいる。
I号神殿の背面 ©牧哲雄
いずれにせよピラミッドは天・地・冥界を結ぶ聖なる山の象徴で、この点はアンコールワットやボロブドゥールなど、仏教やヒンドゥー教の多くの寺院が須弥山を模しているのと同様だ。また、セイバと呼ばれる木が天・地・冥界を結んでいる宇宙樹だと信仰されていた。
この宇宙三層構造、聖山、宇宙樹という考え方は、実は世界中いたるところで見ることができる。空の向こうには何があるのか? 地の下はいったいどうなっているのか? 原因と結果を結びつける人間の思考が、自然とこのような信仰を生み出したのだろう。