アブシンベルに込められたラムセス2世の想い ―カデシュの戦い―
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アブシンベルはUNESCOの救済キャンペーンによって救われた遺跡。上半身が崩れている左から2番目の像は移転前から崩れており、その崩れ具合まで再現された
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カデシュの戦いで、戦車に乗って敵を蹴散らすラムセス2世のレリーフ。同様の勝利のレリーフはルクソール神殿などでも見ることができる
アブシンベルにはカデシュでヒッタイトの軍勢を蹴散らすラムセス2世の様子が派手に描かれているが、世界遺産にも登録されているヒッタイトの首都ハットゥシャから出土したボアズキョイ文書によると、エジプト軍は終始劣勢で、ラムセス2世は命からがら逃げ延びたというのが事実だったようだ。停戦の約10年後、ラムセス2世はヒッタイトから妃を迎え、両国は世界で初といわれる平和条約を結んだ。