清酒専門家のきき酒コメント、恐るべし!!
ずらり並んだ一升瓶をブラインド・テイスティングする。集中力がいる。 |
今年は、ワタクシ、なんと審査員としてきき酒をやらせていただいた。実際に造りに携わる方や専門家の先生に交じり、全238点の試飲を行ったわけだが、いやぁ、面白かったですよ。勉強になりました。 なにがって? 専門家のきき酒コメントがですよぉ。
「カプヒネ」「アマウキ」「アマダレ」「サクエチ」「カプハナレ」「靴下」「ゴム長」・・・、これ全部きき酒用語。どちらかといえばオフ・フレーヴァー(詳しくは「日本酒オフフレーヴァーきき当て体験その1」をご覧ください。)の表現だ。むむむ~~~、わかりにくいけど、面白い。
正確には、以下のような状態をさす。
・「カプヒネ」 カプロン酸エチルのひねたお酒。ヒネ香が混ざったような重たい香り
・「アマウキ」 舌の上で甘さが強く感じる。結果バランスの悪いお酒
・「アマダレ」 甘さが残る感じ。きき酒で吐いた後にまで甘さが残る。
・「サクエチ」 酢酸エチル臭。薬品的な香り
・「カプハナレ」 カプロン酸エチルが強く香りがういた感じ
(はせがわ酒店、高木氏より教えていただきました)
(きき酒に関する記事は→ 「日本酒オフフレーヴァーきき当て体験その2」
蔵元審査員は、自分のお酒も審査されるのだ。厳しい~~。 |
でも、飲み物なのに「靴下」や「ゴム長」はないだろう、なぁんて思っちゃいますね。
ちなみに、当日の審査員25名は以下の通り。(順不同)
鈴木正柯(福岡県酒造組合理事)、 小関敏彦(山形県工業技術センター)、 上東治彦(高知県工業技術センター)、 岡本竹己(栃木県産業技術センター)、 上山修(群馬産業技術センター) 、小林麻由美(元岩手県工業技術センター) 、谷本昌太(広島県立工業技術センター) 、松崎晴雄(日本酒ジャーナリスト)、 ジョン・ゴントナー(日本酒ジャーナリスト) 、勝木慶一郎(五町田酒造(株)) 、須貝 智(米鶴酒造(株))、 廣木健司((資)廣木酒造本店) 、新澤巌夫((株)新澤醸造店) 、佐藤正一(酒田酒造(株)) 、坂井将之(市島酒造(株))、 西岡義彦(聖徳銘醸(株)) 、大澤 実(大澤酒造(株))、 相原準一郎(相原酒造(株))、 小原 昭((有)濱川商店)、 澄川宜史((株)澄川酒造場)、 山田英彦(磯自慢酒造(株))、 高垣幸男(月桂冠(株))、 高木光良((株)いそのさわ) 、長谷川浩一((有)長谷川酒店)、そして 友田晶子(日本酒ジャーナリスト) というお顔ぶれ。
これが私の採点シート。 |
色、香り、味わい、余韻を確認し、「欠点はないか」を探る。
採点シートには「1」から「5」までの数字が書かれ、「欠点なし」だと「1」、「欠点ひとつ」だと「2」、欠点が多くなれば「3」「4」「5」となる。つまり減点法。
ふ~む、いいところを見つけていくワインのテイスティングとは違うもんですな。
マークシートのように塗りつぶしていく。 |
採点だけではなく、簡単なコメントも発表(というより言い合うといったほうがいいかな)するのだが、そこで上記のような、さまざまな面白い表現が出てくるというわけ。審査員でもあり、出展もしている蔵元さんは、自社のエントリー酒への辛辣なコメントにも、真摯な態度で聞き入っておられた。
こんな手帳も配られる。 |
ワインだと(ま、あまり使われないが)、なめらかでコクがあって心地いい甘い香り、乳酸が勝った柔らかい酸味、優しく品のいい樽香・・・などといったニュアンスととれ、いい表現になるだろう。
さらに、審査員の先生方が感じる「薄い」「水っぽい」という感想は、私にとっては「瑞々しい」「優しい」「新鮮」「なめらか」「飲みやすい」という感想と共通したもので、とくに、私の生まれ故郷である福井のお酒に感じられる個性だとわかった。
福井のお酒は、福井のおいしい軟水の味わいがして、不思議なことにブラインドしても私にはとても美味しく感じられた。が、他県の方には、また専門の方には薄く水っぽく感じられるんだなぁとわかった次第。
当日は、審査員のきき酒のほか、蔵元137名、マスコミ22名、酒販店55名、飲食店 87名、一般52名、農大生15名のきき酒結果も集計されている。
→さあ、次ページで友田の高得点銘柄をご紹介します!