友田のテイスティング感想はこれだ!
「春鶯囀」のラベル。よく見ると『晶子』の名前が。 |
あまりにも数が多いので、優秀賞を取ったもののなかで、特に印象的なもの、おいしかったものを書き出してみた。
<吟醸清酒部門>
● 鍋店株式会社 仁勇(じんゆう) 千葉佐原 → あっさり。ドライ感が印象的。
● 稲花酒造有限会社 金龍稲花正宗(きんりゅういなはなまさむね) 千葉茂原 →仁勇よりさらにドライな印象(並んでいたので比べてしまった)。辛口好きの方に。
● 吉野酒造株式会社 腰古井(こしごい) 千葉茂原 →どうしても「こしぶるい」と読みたくなってしまう。艶と旨味があって美味しい。あと引く味。
● 梅一輪酒造株式会社 梅一輪(うめいちりん) 千葉東金 → 名前もラベルも味わいもきれい!
● 小澤酒造株式会社 澤乃井(さわのい) 東京青梅 → アタック(最初の印象)はドライだがアフターに甘味が残るのがポイントか。
● 中村八郎右衛門 千代鶴(ちよつる) 東京青梅 → しっかりとした旨味が心地いい。美味。
● 豊島屋酒造株式会社 金婚正宗(きんこんまさむね) 東京東村山 → あっさり系。
「吟の舞」は協同ラベル。うう~ん、あんまり見たことないなあ。 |
<吟の舞清酒>
● 株式会社飯沼本家 甲子正宗(きのえねまさむね) 千葉成田 →華やかさとバランスが絶品。
<ぎんから清酒>
● 中村八郎右衛門 千代鶴(ちよつる) 東京青梅 → なかでは美味しい。全体にあまりインパクトがない印象。
「ぎんから」のラベル。これも、むむむ、見たことないっ。 |
ひとつは、小澤酒造(株)の「澤乃井 元禄」だ。88%精米という昔の酒造り方そのままの味わいがポイントになっている。しっかりコクと旨味があり飲み応えのあるタイプだ。
もうひとつは、東京東村山市の豊島屋酒造(株)の「屋守」。品のある味わいで後味もすっきり感がある。あとを引くタイプ。
日本酒の鑑評会は「減点法」だと聞いたことがあったが、焼酎に関しては「加点法」で、香り・味・バランスを30点満点で採点するのだとか。たとえば香りには、原料の特性が出ているかどうか、味は甘味などが重要なファクターになるのだとか。日本酒に関して聞くのを忘れたのが、ちょっと悔やまれた。
鑑評会の「受賞」には意味があるか?
ということで、鑑評会での実績は前述の「目的」どおり、造り手の方のモチベーションアップには役に立っていると思うが、さて、実際の飲み手のほうにはどのように響くのだろうか。
実際にテイスティングをしてみた感じでは、確かに優秀賞を取ったお酒とそうでないお酒には、微妙だけれど差があったように思う。賞をとってないものは、雑味というのか、モッタリした感じというのか、ややクセがあるような印象だった。逆に賞をとったものは、きれいで雑味がなくすっきりしていたようだ。
澤乃井の「元禄」は個性派で美味しい。色もちょっと濃いめ。 |
「賞」をとったお酒は、すっきりしてきれいな味わい・・・というようなことを、もっと飲み手の人に伝えてあげなければいけないように思うがどうだろう。
「受賞」などと書いてあるボトルだと、普通の人ならば「詳しいことはわからんが、とりあえず間違いない」と買っていく人もいるだろうから。でも封を開けてみると「すっきりしすぎてものたらん」と思う人がいるかもしれない。
「受賞」は、つまり「無条件に買わせる」ファクターにもなっているわけだ。それでいいのだろうか。受賞酒は、どんなタイプで、どんな味わい方がいいのか、どんな風に飲んだら美味しいのか、などをしっかり伝えていくべきではないだろうか。
それは、きっと、メーカーさんというよりも、お酒屋さんや飲食店でお酒を勧めるサービスの方、もしくは我々のようなメディアに携わるものの務めではないかと思う。
そのためには、東京国税局様、いや、全国の鑑評会関係者様、今後も私たちにテイスティングの機会や情報をどうぞたくさん下さいますようお願い申しあげま~す。