「遅く寝て遅く起きても、睡眠時間が同じならいいのでは?」に反論
現代の子どもたちが夜型になってしまう原因のひとつには、父親の帰宅時間が遅いことが挙げられます。そのため、「パパと触れ合う時間を持つために、夜型にせざるを得ない」という選択をしているご家庭も多いでしょう。しかし、小児科医で臨床睡眠医学が専門の神山潤氏『眠りを奪われた子どもたち』 によると、睡眠に関する調査で「夜ふかしの子どもたちの一日の総睡眠時間は早寝の子どもたちよりも確実に少ない」という結果が得られたそうです。夜ふかしの分の睡眠負債は朝寝坊や昼寝では取り返せてはいないのです。
睡眠リズムが不安定だと、認知能力に悪影響が?
また、神山氏の著書では、睡眠覚醒リズムとある種の知能検査との関連を検討した鈴木みゆき氏(聖徳大学短期大学部助教授)の研究結果が報告されています。その報告によると、「就寝時刻や起床時刻が一定せず、夜間睡眠量のばらつきが1.5時間以上ある5歳児では、夜間睡眠量のばらつきが1.5時間未満の5歳児に比べ、三角形を模写することのできない児の割合が3倍近く多い」とのこと。
「睡眠覚醒習慣の不安定さが、認知能力に何らかの悪影響を及ぼしているのではないか」というのが鈴木氏の指摘であり、神山氏もこの結果をふまえて論を展開しています。
「早寝早起きですべて解決」ではないけれど
「子どもに合わせる」式の子育て法が主流の中では、こうした「正しい生活リズムを」といった提言は、ともすれば専門家による一方的な押し付けのように感じられるかもしれません。神山氏も「もちろん、私自身、夜ふかし(への対策)ですべての生活習慣病、キレる子どもたち、引きこもり、不登校の問題などが解決するとは考えていません」 と語っています。
「しかしもっと身近な大人たちが子どもたちにしておかなければいけないことがたくさんあるのではないか」、そのひとつがきちんとした生活習慣のしつけだと言います。
ガイドもこの意見に賛成です。「早寝早起きしないと、こんなに悪いことが起こる」という言い方は好きではありません。
しかし、睡眠のリズムがうまくいっているかどうかは、「今」の子どもの状態を大きく左右します。そして、そんな「今」の積み重ねが子どもの将来につながると考えるのなら・・・けして軽視できない問題ではないでしょうか。
次回の記事では、「実際にはどうやって早寝早起き習慣をつける?」についてお話します
※ 本記事は、ガイドが文献を参考にまとめたものです。医師の監修によるものではありません。
■参考文献■
品田知美 『<子育て法>革命』 中公新書 2004年
神山潤 『眠りを奪われた子どもたち』 岩波ブックレット 2004年
■関連リンク■
2005年・入園前はここをチェック(2) → こうして子どもを早く寝かせる!【幼稚園・保育園】
「行きたくない!」の原因が「眠いから」ということも
→ 登園しぶり、どうする?【幼稚園・保育園】
夜泣き、疳の虫の効くという → 疳の虫にも効果!スキンタッチ法【妊娠・出産準備】
おねしょの悩みは → 「おねしょ」の科学【子育て事情】