保育園か幼稚園か迷うママたちへ

保育園か幼稚園か迷うママたちへ

保育園か幼稚園か迷うママたちへ
 

「専業主婦なら幼稚園、仕事をしてれば保育園」というのが基本的な分類ですが、「仕事のある日とない日がある」「これから仕事を探したい」という母はどちらを選ぶのでしょうか?悩んで決断した実例をご紹介します。  

幼稚園と保育園、どちらを選ぶ?

「幼稚園は、母親が専業主婦である子どもが通うところ」「保育園は、フルタイムで働く母親の子どもが通うところ」、これが一般的なイメージです。しかし、最近ではそのどちらにもぴたりと当てはまらないケースが増えてきています。

例えば、フリーランスやパートなどで働く場合。働く日と働かない日がある場合は、保育園入園が難しくなってきます。自治体によっては「週に3日勤務」であっても入園資格がある場合もありますが、フルタイムで働く人に比べれば優先度は低くなります。また、フリーランスで働いている人の中には、いろんな理由からあえて幼稚園を選び、「仕事は夜中と、子どものいない午前中のみ、あとは幼稚園の預かり保育やベビーシッターを利用」で乗り切っているというケースもあります。

それ以外にも、「今は専業主婦だけど、これから仕事を始めたい、だけど、幼稚園の募集はこの時期(毎年10月末である場合が多い)にしかない、でも、保育園に入れるかどうかは、年明けの2月か3月にならないと分からない」という場合も悩むところです。
※ 実はガイド自身も、仕事開始と上の子の幼稚園入園選考のタイミングが重なってしまい、「とりあえず幼稚園を確保してから、保育園の入園申し込みをした」という経験の持ち主。入園金や制服一式など、全てムダになりました。

今年も幼稚園入園選考の時期を終え、そんな「悩んだ末の決断」という経験をした母親たちに話を聞いてみました。

保育室から幼稚園へ:コーチング講師・山崎洋実さんの場合

山崎洋実さんは1児の母。現在はコーチングの講師として、主に子育て中の母親を対象とした活動を行っています。

そんな山崎さんのお子さんはもうすぐ4歳。現在は3歳未満児向けの保育室に通っていますが、来年の4月からは幼稚園の年中クラスに入園することになりました。これまで保育室に通わせていたなら、次は認可保育園…と考えるのがワーキングマザーの通常のケースですが、山崎さんはなぜあえて幼稚園を選んだのでしょうか。

まず、山崎さんの住む地域は保育園入園の激戦地として有名なところという事情があります。山崎さん曰く「通園と通勤を考えたときに、特に立地の問題でおめがねにかなう保育園が見つからなかったんです」。それに対して、入園を決めた幼稚園は「自宅のななめ前」という好立地。朝の8時からの預かり保育があるので、午前中の仕事には差し支えありません。

もちろん条件面だけではなく、その幼稚園の保育内容が気に入ったことも、山崎さんの決断の大きな要因です。「外遊び中心で評判のいい園です。幼児期のうちは、できるだけ体を使って遊んでほしい、というのが私の希望でしたから、この園がぴったりだと思いました。」

しかし山崎さんは年々セミナーなどの仕事依頼が増えており、かなり忙しそうです。時間的には、子どもを保育園に通わせたほうが余裕ができるように思えますが、それでも幼稚園を選んだことには別の理由もありました。

「私の仕事は、専業主婦の方々を相手に行うことが多いんです。実は、保育室に子どもを通わせるようになって、専業主婦としての視点が薄れてきているのを感じたこともありました。これから“幼稚園ママ”を経験することで、また新たに見えてくるものがあるはず。そうしたことを、専業主婦の方々によりリアルに伝えていきたいと思います。

子どものこと、そして自分自身のことも考えた上で、「保育室から幼稚園へ」という選択をした山崎さん。「春からの、毎日のお弁当作りがちょっと気になるんですけど」とのことですが、それも2年間のこと。この数ヶ月間しっかり考えて決断しただけに、今はすっきりと来春からの生活を楽しみにしているようでした。
 

悩んだ末、幼稚園入園を見送った:Kさんの場合

Kさんは、小学生と「来春年少さん」の2人の子どもを持つ母親です。この5年間は専業主婦として暮らしてきましたが、現在は就職活動中。幼稚園入園選考が行われた先月、Kさんは下の子を「上の子が通っていた幼稚園」に入園させることを見送りました。

Kさんの求職意欲はかなり本気で、ハローワークにも通い、仕事が決まりかけたこともあります。しかし今のところは「求職中」。保育園の入園資格は満たしていても、優先度となると正直厳しいところです。「幼稚園を確保してから、保育園に申し込む」という手もあったのでは?とつい思ってしまいます。

「“保育園に入れなかったとき用に行き場を確保する”というのは、私としてはいやだったんです。子どもに対しても、“幼稚園に行くつもりだったのに保育園に通うことなった”ということを納得させるのも難しいと思いましたし。もちろん、そういう方法をとる人を非難しているわけではないんですよ。それに、ちょっと自分を追い詰めて、必死で就職活動をしてみようという気もありました。」

Kさんの住む地域は、「パートでも仕事をしていれば、何とか入れるかもしれない」という保育園状況ですが、問題はそれだけではありません。フルタイムで働くことになれば、小学校低学年の上の子には放課後の学童保育が必要になります。が、その学童保育への入所が保育園以上に厳しい、という状況があるのです。

仕事を見つけること、下の子の保育園のこと、上の子の学童保育のこと…Kさんが働き始めるまでにクリアしなければならないハードルはいくつもありますが、きっと今の努力が実を結ぶ日が来るだろうと私は思うし、そう願ってもいます。

「幼稚園・保育園」という分類は古い?

今回のお話を聞いて感じたのは、「現在の幼稚園・保育園という枠組みが、現状に合っていないのではないか」ということです。現在の「幼稚園・保育園」という枠組みは、戦後の高度経済成長期の「サラリーマンと専業主婦」という組み合わせの家庭が増えていく中で作られてきたもの。具体的な事情は地域により異なりますが、「幼稚園が多数派、母親が働かなければならない家庭の子どものみ保育園」という分類がされていました。

また、母親が自営などで働いている場合でも、祖父母や地域の助けが得られる状況の家庭では幼稚園に通わせることが可能でした。平成14年度のデータでも「5歳児の6割が幼稚園、保育園は4割弱」という結果が出ており(平成14年度文部科学省調べ)、「就学前の1年間は、幼稚園」というケースの多いことがうかがえます。

しかしここ数年、保育園への入園希望者は増えています(平成17年度厚生労働省調べ)。「サラリーマンと専業主婦」以外の家庭が増えてきたこと、働く母親の仕事が自営から会社勤務などに移ってきたこと、祖父母や地域の助けが得られにくくなってきたことなどが、その背景にあると思われます。

夫の雇用の不安定化、そして妻が働くことの目的が多様化(「収入のため」だけではなく、「専門知識を生かすため」「仕事をするのが好きだから」など、個人により様々)している現在、かつてのような「幼稚園と保育園の棲み分け」がうまく機能しなくなっている気がします。「幼保一元化」や「幼稚園の預かり保育」という試みは、こうした現状を踏まえてのことだと考えらるでしょう。

「働く時間を自分で調節したい」「子どもが小さいけど、再就職したい」母親のこうしたニーズ(それは、母親のみならず父親も含めた世帯としてのニーズである場合もある)に応えるためには、現状の幼稚園・保育園の枠組みを少しずつ変えていく必要があるのではないでしょうか。

こうした状況下で子どもを持つ母親が何かを始めようとするなら、地域の情報収集や、保育園・幼稚園事情に合わせたやり方をひとりひとりが探していくことが必要になります。今回の2人の体験談がその一助になればと思っています。
 

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