・前菜
前菜。
ラングスティーヌがとってもボリューミーに入っています。
そして、今回のコースの中で、もっとも心に残った一皿が、こちら「ラングスティーヌの軽いポワレ」。理想的なまでに絶妙な火入れが施されたラングスティーヌの身の下には、ロワール産ホワイトアスパラが敷いてあり、上には数種類ものサラダたち。これだけでも美味たることが約束された組み合わせですが、この皿の特筆すべきは、そのソース。

一般的にホワイトアスパラには、オランディーズ・ソースが定石ですが、シェフは初夏を意識し、敢えて酸味を効かせた軽やかなソースを選ばれているのです。ハチミツとローズマリー、そしてシェリーヴィネガーで作られたソースは、円やかな甘味の中に程よい酸味があり、ハーブとハニーのブーケが味覚と嗅覚をW効果で満たしていきます。

また、ソースに添えられたトマトのクーリが、ヴィネガーとは異なる酸味を付与し、ソースに優しく複雑な拡がりのアクセントを生み出してホワイトアスパラを一層引き立てています。


・魚料理
魚料理。
はち切れそうな身質の張り具合がたまりません。
魚料理は「ガシラ」のヴァプール。所謂「蒸し焼き」で、そこにレモンやヴィネガーを使った瞬間エスカベッシュで仕上げた一皿。蒸されることによってガシラの(身質の)弾力が増しており、味わいだけでなく食感までもが愉しめ、程よいソースの酸味が心地良くガシラの旨味に寄り添います。また、皿に盛られた柔らかな「武庫一寸(そら豆)」も、見た目の鮮やかさに一役かっていますね。


・肉料理
肉料理。
脂身までもが甘くて旨い、イベリコ豚のロティ。
肉メインは「イベリコ豚のロティ」。ソースはフォンベースのオーソドックスなスタイルですが、肉そのものに「オレンジ」と「フェンネル」で2~3日マリネしてあり、肉料理にしてはさっぱりとしたテイストの夏らしい一皿。

また、肉に乗せられたフェンネルの茎部分を刻んだものが、独特のシャキシャキ感を加味し、食感的にも愉しめる仕上がりになっているのです。

骨の周りの部位はもちろん、イベリコ豚特有の甘い脂身がしっかりと強調されているのも嬉しいですね。シェフのイベリコ豚に対する熱い情熱が注ぎ込まれた秀逸の完成度でした。

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