リヨンの味を神戸の食材で再構築「トランテアン」

店内

地上31階からの眺望も楽しみの一つ

六甲山頂からの「1000万ドルの夜景」で知られる神戸。この夜景を山からではなく海側から楽しめるスポットがあるのをご存知でしょうか。それは31年前からポートアイランドのシンボル的存在として屹立するポートピアホテルの31階にあるフレンチレストランからの眺めなのです。

1981年のホテル開業以来、今年の3月までの31年間、ここはリヨン北東のミヨネー(Mionnay)村にある「アラン・シャペル」本店と提携した世界唯一のレストランでした。今年1月の本店閉店に伴い、惜しまれながら3月に閉店しましたが、新たに5月からリヨン市内の2つ星「ラ メール ブラジィエ(la Mere Brazier)」と提携し、31階で31年目の再出発であることに因んで、その名も「トランテアン(フランス語で31という意味)」として再スタートを切ったのです。
トランテアン

「トランテアン」の入口

ラ メール ブラジィエのレシピを元に、実際に日本で陣頭指揮をとられるのは1967年生まれのシェフ佐々木康二(やすじ)さん。奇しくも「アラン・シャペル」最後の料理長(2009年~)をつとめた佐々木シェフが、引き続き「トランテアン」でも腕を揮ってくださるのです。佐々木シェフは「アラン・シャペル」のシェフをつとめた上柿元勝さんに20年間も師事した方。その上、上柿元勝さんはアラン・シャペル氏(1937~1990)の愛弟子の一人だった方ですから、佐々木シェフはいわばアラン・シャペル氏直系の孫弟子といえる方なんですね。

注) 2015年10月現在、佐々木シェフは退店され、大阪でレストラン「
プレスキル」の料理長をされています。当記事は佐々木シェフ時代の過去記事となります。
ラメールブラジィエ

女性シェフとしては初めて三ツ星に輝いたウジェニー ブラジィエ氏

今回提携した「ラ メール ブラジィエ」は、1921年に弱冠26歳の女性シェフ、ウジェニー・ブラジィエさんが開店させたリヨンの老舗。1933年には女性シェフとして初のミシュラン3つ星にも輝き、ポール・ボキューズ氏をはじめ、多くの優秀な料理人を育てたことでも知られています。この歴史ある名店を2004年度のMOF(フランス国家最優秀職人章)を受章して上昇気流に乗る実力派シェフ、マチュ・ヴィアネ(Mathieu Viannay)氏がオーナーシェフとして2008年に買い取って再オープン。その数ヶ月後には早くも2つ星を勝ち取って老舗に第二の青春を与え、今日に至っています。
通路

通路には「ラ メール ブラジィエ」にまつわる写真がズラリ

本館エレベーターで31階フロアに降りると、目の前が入口となっており、エントランスを抜けて左手にウェイティングルーム。ウェイティングルームから奥へ進むと、右手には海と神戸空港を望む、まるで空に浮かんでいるような広大なメインダイニング、左手には神戸の街と六甲の山並が手に取るように独り占めできる個室が並んでいます。どちらを利用しても贅沢な景色に包まれながら料理を楽しむことができます。
パン

ホテルメイドのパン。バターはボルティエの海藻入りバターと有塩バターの2種類が付きます

お昼は佐々木シェフのエスプリ溢れる地産地消メニューに触れ、また夜はラ メール ブラジィエ本店とほとんど同じ内容のメニュー・デギュスタシオンを味わうのもよし、1921年当時から受け継がれている伝統メニューを楽しむのもよし、新生トランテアンは幾通りにもフレンチを気分に合わせて堪能することができるグラン・メゾンに変貌しました。


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