『じりラブ』と同じく集英社というメジャーな出版社から伏見さんの小説単行本が発売されたことを心からお慶びしつつ、日本を代表するゲイライターである伏見さんの略歴を振り返りつつ、評論やエッセイを書いていた伏見さんが「どうしても小説という形で表現したかったもの」についてゴトウなりに考え、ご紹介してみたいと思います。
伏見憲明公式サイト
http://www.pot.co.jp/fushimi/
伏見憲明さんの輝かしい功績
『ゲイという[経験] 増補版』伏見憲明/ポット出版/3675円 デビュー作『プライベート・ゲイ・ライフ』から最新連載『曲がり角を過ぎても』までを収め、これ一冊でゲイについてのすべてがわかるような、伏見さんの自伝のような、世紀の大作。 |
『プライベート・ゲイ・ライフ』ではその後のジェンダー/セクシュアリティ論の基礎となる枠組みを提出し(今大学で教えられているジェンダー論なども、この考えがベースになっています)、『クィア・パラダイス』(翔泳社)(その後、『変態〈クィア〉入門』としてちくま文庫に入っています)ではトランスジェンダーやインターセックスなどの方たちとの対話を通じて多様なジェンダー/セクシュアリティを示し、『クィア・ジャパン』シリーズ(勁草書房)ではゲイの老後やサラリーマン、コミュニティ論、運動論などを取り上げ、『バディ』誌上でも日本のゲイの歴史を探る連載や今現在のゲイシーンにコミットするようなエッセイを発表してきました。ゲイにとって重要なことはすべて語り尽くしてきたと思えるほどです。
伏見さんは、世間の人たちがゲイへの理解や共感を深めるような著作を量産してきた一方で、パレードなどゲイコミュニティのムーブメントも強力にバックアップしてきました。世間とゲイの間に立ちはだかる「壁」をブルドーザーのようなパワーで打ち砕き、道を切り開き、光を灯し、今の僕らの生きやすさへとつながるような素晴らしい貢献をしてきた方なのです(とても足を向けて寝られません)