セクシュアルマイノリティ・同性愛/ゲイライフ

愛は鉄格子を越えて~史上最驚の「純愛」(4ページ目)

愛する彼のために詐欺や脱獄を繰り返す世にも稀な実在のゲイを描いた映画『フィリップ、きみを愛してる!』が3/13から公開。ある意味、史上最驚の「純愛」です。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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第11回 恋は盲目と言うけれど


今でこそ「銀婚式を迎えた夫婦」のようなたたずまいの2人ですが、恋が始まった頃は僕もそれなりに「猪突猛進」でした。

運命の出会いを果たした1週間後は、ちょうどクリスマスイブの日でした。僕は彼に会ってくれるようお願いして、指定されたファミレスの前で待っていました。「用事で遅くなる」とは言われていましたが、待てど暮らせど、彼は来ません…気分は「マッチ売りの少女」です。
でも、「いい加減こごえ死ぬ」と思い、店に入って待つことに。コーヒーを何杯もおかわりして、日付も変わり、「とんだイブだったなぁ…」と途方に暮れた頃、彼は現れました。とりあえずはシンデレラになれたのです。

そこから3ヶ月、つきあってもらえる見通しもないまま、僕は熱烈にアタックし続けました。毎週彼の部屋に行き、セックスして、朝になったら帰る…そんな日々が続きました(友達に彼が振り向いてくれなくてつらいの…と弱音を吐いたこともありました)。2月の誕生日にはプレゼントもあげてお祝いしました。身の危険を冒したり犯罪に手を染めたりこそしませんでしたが、辛抱強く、全身全霊でアピールしてました。(相手を振り向かせようと精一杯ダンスするハデな野鳥みたいに)

やっと正式につきあうことになり、その日から毎日、彼の部屋に通いました。隣り町なので近いのですが、チャリで彼の部屋に行き、朝はまたチャリで家に戻り、駅まで歩いて電車に乗って通勤(定期券は自分の家の近くの駅からと決まっているので、そうしてました)、という生活。雨の日はちょっと大変でした。でも、当時は全然苦になりませんでした。(ダンナのためならエンヤコラ)

1ヶ月くらい経ったある日、ダンナから「入院した」とメールが。驚いた僕は仕事を抜け出して(取材とか何とか言い訳したハズ…編集部のみなさん、ごめんなさい!)、病院に駆けつけたのでした。聞くと、胃けいれんで緊急入院したということ。ときどき持病のように発作が起こるようでした。(ピロリ菌を退治してからはそういうことはなくなりました。ビバ!医療技術)

…て感じですが、こうやって書いてみると意外と薄味ですね(ダンナの前につきあった人はもっとハチャメチャやってました)。たぶん「強火でジャーッと一気に」じゃなく「弱火でコトコト煮込む」タイプの恋愛だったんだなぁ~と思います。
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