Living Togetherムーブメント
「エイズ撲滅」などの恐怖心を煽るようなメッセージではなく、HIV陽性者の人たちへの共感を語りながらHIVを身近にリアルに感じていこうとする「Living Together」ムーブメントが二丁目で誕生してから約5年が経ちました。二丁目の「ArcH」や「九州男」では、お酒や音楽を楽しみながらHIV陽性者の手記をリーディングするイベントが定期的に開催され、厚労省や東京都の後援を受けて、実に様々な充実したパンフレットやWebサイトが広く届けられるようになりました。(現在、「できる!」キャンペーン実施中)
そんな中、『ポエトリー・リーディング Think About AIDS』というTOKYO FMが主催する(後援:エイズ予防のための戦略研究MSM首都圏グループ(研究リーダー:市川誠一))イベントも年2回ペースで開催されるようになりました。今年はエリオット・ヤミン、松本素生、木山裕策、しりあがり寿、清水ミチコ、松下由樹、茂木健一郎、高橋源一郎といった著名人の方々がLiving Togetherのスピリットに共感を示し、ゲイのHIV陽性者が書いた手記を朗読したり、トークやライブを披露したりというカタチで参加してくれました。12月18日に行われた『ポエトリー・リーディング Think About AIDS』では、清水ミチコは爆笑モノのネタで会場を沸かせ、茂木さんはアラン・チューリングやオスカー・ワイルドのエピソードを紹介しつつ、「世の中には”普通”の人など一人もいない」と、直球でゲイへのエールを送ってくれました。素晴らしいイベントでした。
二丁目発のLiving Togetherを中心に、HIV予防啓発のムーブメントは全国的に展開されています。札幌や仙台、名古屋、大阪、神戸、愛媛、福岡、沖縄などでもがんばっている方たちがいらっしゃいます。それぞれの方たちの尽力に敬意を表しつつ、HIV陽性者の方たちがもっと生きやすい社会になることを願います。
『ポエトリー・リーディング Think About AIDS』は、毎回驚きの有名人が登場し、HIV陽性者の手記を読み、心からのメッセージやライブをプレゼントしてくれる、素晴らしいイベントです(写真:竹之内祐幸) |
その他、ゲイシーンに関するいろいろをご紹介!
パートナーシップに関して、タックさんが『二人で生きる技術─幸せになるためのパートナーシップ』を、永易至文さんが『同性パートナー生活読本』という本を発表しました。フランスのPACSを実現させたフレデリック・マルテルさんの講演会なども大盛況で、パートナーシップへの熱い思い、パートナー法への気運の高まりを感じさせました。
作家の伏見憲明さんが新作小説『桜草団地一街区 爪を噛む女』を『すばる』誌上で発表。来年3月に単行本として出版されるそうです。『MILK 写真で見るハーヴィー・ミルクの生涯』(AC Books)の監修にも携わりました。また、伏見さんは南定四郎さんを二丁目に復帰させたり(スゴイことです)、「エフメゾ」周年パーティに宮台真司さんをお呼びしたり(スゴイことです)、作家としてだけでなくゲイシーン的にも大活躍でした。
2009年はゲイ・アート・シーンも充実していました。毎年恒例のRainbow Arts展をはじめ、二丁目の『cocolo cafe』での町田敏之さんの写真展、『akta』『タックスノット』での大塚隆史さんの個展、森栄喜さんの写真集など、素敵なイベントが花盛りでした。
今年は演劇鑑賞にも忙しい年でした。劇団フライングステージが1月には『ジェラシー ~夢の虜~』『ミッシング・ハーフ』を、7月には『プライベート・アイズ』を、そして来たる12月26日&27日には『gaku-GAY-kai』で「贋作・マイ フェア レディ」を上演。そして今年は、ブロードウェイ・ミュージカル来日公演のラッシュでもありました。『RENT』『CHICAGO』『コーラスライン』『ヘアスプレー』『ザナドゥ』など、観なくちゃ!な演目がズラリ。お金がいくらあっても足りない!と悲鳴をあげそうになりました。
映画では、『ミルク』だけでなく、『メイプルソープとコレクター』『ダウト』『アンティーク~西洋骨董菓子店』『サガン~悲しみよこんにちは』『ミウの歌~Love of Siam』など、ゲイをテーマにした、あるいはゲイが登場する作品が一般公開されました。どれもイイ作品でした!
最後に1つ。今年、ゲイの間でブームとなったのが、iPhoneでした。今までauとかだった人たちが続々とiPhoneに乗り換え中です(実はゴトウも替えました)。なぜiPhoneなのか? これについては、また改めて詳しくお伝えしたいと思います。