セクシュアルマイノリティ・同性愛/ゲイライフ

「日本のハーヴェイ・ミルク」へ愛をこめて(3ページ目)

映画『ミルク』が今、たくさんの人を涙させ、感動と共感を呼んでいます。いろんな意味で「愛」に生きたミルクは、30年の時を超えて今、僕らの「リアル」へとつながり、ちょっとした奇蹟も呼んでくれました。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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「日本のハーヴェイ・ミルク」への愛をこめて~「南定四郎氏、12年ぶりに降臨!」


欲望問題
伏見さんが「命をかけて書いた」と語る渾身の一冊『欲望問題
1991年に『プライベート・ゲイ・ライフ』で全国的にカミングアウトし、90年代ゲイブームの火付け役となって以来、『ゲイという[経験]』『同性愛入門』『さびしさの授業』『欲望問題』など数十冊もの本を著し、ジェンダー/セクシュアリティの分野の第一人者として活躍し、『Queer Japan』という社会的に高く評価される雑誌も発行しながら、ゲイコミュニティにも貢献しながら、1998年には『AERA』誌の「21世紀の30代50人」に選ばれた「知の巨人」伏見憲明さん。2003年には『魔女の息子』で文藝賞に輝き、小説家としても活躍してきました。(もちろん、伏見さんこそ「日本のミルク」だと尊敬する方も多いのです)
現在伏見さんは、毎週水曜日に二丁目のバー『メゾフォルテ』で昭和風のバー(通称「エフメゾ」)を開いています。絶妙なトークで楽しませたり、オトコを紹介したり(そこで誕生したカップルも!)、世話焼きママとしても人気です。その「エフメゾ」で、このゴールデンウィーク、ゲイ史に残るイベントが開催されようとしています。

5月6日(祝)、ずっとゲイシーンから遠ざかっていた南定四郎さんが12年ぶりに二丁目に姿を現し、お話をしてくれることになりました。これは奇蹟です!

南定四郎さん(77歳)は、80年代から90年代にかけて日本のレズビアン&ゲイの運動を牽引した伝説の活動家で、伏見さんいわく「ゲイリブの父」と言える方です。
まだ厚生省も何の対策も打ち出していなかった1984年にいち早く(日本で初めて)エイズ電話相談をスタートさせ、雑誌『アドン』のみならず初のファッション誌的なゲイ雑誌『mlmw(ムルム)』を世に送り出し、初のコミュニティセンター「hands on hands」を設立し、東京国際レズビアン&映画祭を立ち上げ、東京レズビアン・ゲイ・パレードを開催し…と、想像を絶するパワーで(まるでブルドーザーのように)、ゲイシーンの今の姿の原型を作り上げた偉人なのです。その活動のすべてが私財を投げ打っての献身だったそうで、本当に頭が下がります。選挙にこそ出ていませんが、元祖「日本のハーヴェイ・ミルク」はやはり南さんだと思う方も多いはずです。

この12年間、南さんは、理由あってレズビアン&ゲイの運動との関わりを断ち、二丁目にも一切足を踏み入れず、状況と距離を置いてきました(僕ももう二度と会えないだろうとあきらめていました)。が、この度、伏見さんに自身の伝記を書くことを認めてくださり、また、久しぶりに表舞台で語ってくれることも引き受けてくれたのだそうです(素晴らしい!伏見さんの誠意と熱意のおかげです。そして、もしかしたら天国のミルクが導いてくれたのかも…と思わせるものがあります)。
そこで急遽、ゴールデンウィーク最終日の5月6日、「エフメゾ」で南定四郎さんをお迎えしてのトークイベントが催されることになりました。
ミルクの思いを最も真正面から受け止め、力強く実践した伝説の偉人は、今よりもはるかに困難が伴った時代、どうやって道を切り開いてきたのか、その原動力はなんだったのか…そんなお話を聞くことができるのでは?と思います。

こうした機会は、もしかしたら、二度とないかもしれません。ぜひともご来店ください。
当日は伏見さん監修の『MILK 写真で見るハーヴィー・ミルクの生涯』の販売も行われるそうです。

南定四郎×伏見憲明トークイベント「南定四郎氏、12年ぶりに降臨!」
日時:5月6日(祝)17:00~20:00
会場:エフメゾ(二丁目のバー「mf」)
料金等の詳細はこちら
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