ヘルシンキにできた日本の食堂

かもめ食堂
『かもめ食堂』5,040(税込)原作/群ようこ 脚本・監督/荻上直子 出演/小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ

ちょうどミキさんたちのストーリー(連載第1話 「出会いはゲストハウス、始まりは靴箱から」)を書いている時に観た映画です。劇場公開は2006年3月。見逃した私はレンタル開始時から何度も借りようと試みますが、いつも貸し出し中……。

やっと借りることができたのが、奇しくも連載を始めた頃でした。
「あっ、これもフィンランドだった!」
そう、偶然にもフィンランドつながりになっていたのです。

ネタばれしない程度にストーリーをご紹介しますと、主人公は、フィンランドの首都ヘルシンキに日本食のお店「かもめ食堂」を開いた日本人女性のサチエさん(小林聡美)。でも、なかなかお客が入りません。そこに、ひょんなことからお手伝いすることになったのが、旅行で来ていたミドリさん(片桐はいり)。さらに、空港で荷物が出てこなかったために足止めをくっているマサコさん(もたいまさこ)も仲間入り。

この3人が働く「かもめ食堂」の日常を追って、特別大きな出来事や事件もなく、物語は展開していきます。オール・フィンランド・ロケで制作したそうですが、ほとんどのシーンはかもめ食堂とその周辺で、自分がそこにいても違和感がないような、不思議で居心地のよい空間がスクリーンに広がります。

ひたむきなサチエさんからのメッセージは…


強烈なインパクトはないのに妙に心に残る映画、それが『かもめ食堂』です。
これはひとえに、主人公サチエさんの生き方によるところが大きい……。たとえば、お客さんが誰も来ない日が続いても、彼女はヘコまず、“食堂を開店する”という日常を淡々と続けていくのです。
「毎日まじめにやっていれば、いつかお客さんはやってくる」が、彼女の信条。その精神的強さの支えになっているのが、サチエさんが趣味で続けている合気道だと思われるところも、なんだかウレシイ気がしました。

やがてその通り、お店に変化が……。

私はいつの間にか、(自分も含め)外国生活に適応しようとして頑張る日本人女性とサチエさんの姿を、対比させて見ていました。
「ああ、そうか。彼女のようなやり方もあるんだ」と……。

頑張り過ぎず、無理やり地元の人たちの生活に入って行かず、でも常に隣人としてそこにいて、ドアはいつでも開いている……

早くその国の生活に適応したいがために、ついつい頑張ってしまい(語学の勉強とかボランティア活動とかに)、いつの間にか見えないストレスを溜め込んでしまうことが多い私たちは、サチエさんの生き方に大いに学ぶところがあるような気がします。
たとえ、ビザはどうしたんだろう?とか、資金やフィンランド語の勉強はどうしたんだろう?という疑問が残ったにしても……

サチエ役の小林聡美サンは、この人以外にはあり得ないだろうと思われるほどのハマリ役。キリッとした役も、少々弱気な女性の役も、見事にこなす、私の大好きな女優さんです。脇を固める片桐はいりサンやもたいまさこサンも、相変わらずいい味を出しています。

「力み過ぎないことも大切、まじめにマイペースでやっていくことがいちばん」というサチエさんのメッセージが聞こえてきそうなこの映画。全編に流れるゆったりほんわかした空気を胸いっぱいに吸い込んで、ちょっと肩の力を抜いてみてもいいかもしれませんね。

オフィシャルサイトはこちら↓
「かもめ食堂」


【関連記事】
■お役立ち書籍『私の夫はマサイ戦士』
■書籍紹介『モーレツ! イタリア家族』
■お役立ち書籍『サイゴンから来た妻と娘』
■お役立ち書籍『トルコで私も考えた』
■お役立ち書籍『ダーリンは外国人』
■お役立ち書籍『国際結婚100家族』
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。