お月見と月の名前、たくさんある洒落た呼び方
空が澄み、お月見に最適な時季、中秋の名月/十五夜はひときわ美しいですね。「十五夜(旧暦8月15日)」「十三夜(旧暦9月13日)」「十日夜(旧暦10月10日)」は収穫を祝う大切な行事。秋ならではの特別なお月見です。しかし、そればかりがお月見ではありません。人はさまざまな表情をみせる月に魅せられ、月に名前をつけてきました。その名前が秀逸で、出てくる月の気持ちになったり、待ちくたびれる人の気持ちになったり、とても洒落ているのです。月の名前を知ると、月を見る眼が変わりますよ。
さて、今宵の月はどんなふうに見えますか?
月の名前には時刻の推移による呼び方もあります。この写真の月は何と呼びましょう? ――記事の最後を参考に
<目次>
満ち欠けによる月の名前・呼び方
現代の暦は太陽の動きにもとづいていますが、それまでは月の満ち欠けによる暦でした。月を目安に時を知り、月明りを頼りに暮らすなど、月は生活の礎だったのです。月の満ち欠けによる名前には、その想いが色濃くあらわれています。例えば……月齢15日目の十五夜(満月)は、日没とともに東の空に昇り、明け方には西の空に沈みますが、これ以降は月の出がおよそ50分ずつ遅くなっていきます。
16日目は、月が出てくるのをいざよう(ためらっている)ようだとして、「十六夜」と書いて「いざよい」と読みます。
17日目はさらに遅いため、まだかまだかと立って待つ「立待月」
18日目は、待ちくたびれて座ってしまうので「居待月」
19日目は、もう床に入って待つから「寝待月」
20日目は、夜も更ける頃なので「更待月」
そして、26日目には夜明け(有明)の空に昇るから「有明月」※
※「有明月」は16日目以降の月の総称でもあります。
このほかにも、さまざまな名前がついています。
主な月齢と月の名前・呼び方
1日目 新月、朔(さく) |
2日目 二日月 |
3日目 三日月、眉月 |
7日目 上弦の月、弓張り月、 半月 |
13日目 十三夜 |
14日目 小望月(こもちづき) |
15日目 十五夜、満月、望月 |
16日目 十六夜(いざよい) |
17日目 立待月(たちまちづき) |
18日目 居待月(いまちづき) |
19日目 寝待月(ねまちづき)、 臥待月(ふしまちづき) |
20日目 更待月(ふけまちづき) |
23日目 二十三夜、下弦の月、 下の弓張り |
26日目 下弦後の三日月、 有明の月 |
30日目 三十日月(みそかづき) |
※月齢・月の形・月の名前は常に一致するわけではなく、多少前後することもあります。
春夏秋冬…… 季節をあらわす月の名前・呼び名
季節や風情をあらわす月の名前・呼び方について、たくさんある中からいくつかご紹介します。- 春月(しゅんげつ):春の月
- 夏月(かげつ):夏の月
- 秋月(しゅうげつ):秋の月
- 冬月(とうげつ):冬の月
- 朧月(おぼろづき):かすかに霞んだ月。春の季語
- 寒月(かんげつ):冷たく冴えてみえる月。冬の季語
気象・天候をあらわす月の名前・呼び方
- 雨月(うげつ):雨の夜の月。十五夜が雨で見えないときもいう。
- 無月(むげつ):十五夜が曇りで見えないとき。
- 薄月(うすづき):薄雲のかかった月。
月の見え方による呼び名・名前
- 孤月(こげつ):寂しげにみえる月。
- 淡月(たんげつ):光の淡い月。
- 青月(せいげつ):青く輝く月。
- 明月(めいげつ)・朗月(ろうげつ)・皓月(こうげつ)・素月(そげつ):清く澄んだ月。
時間の推移による月の名前・呼び方
- 夕月(ゆうづき):夕方にみえる月。
- 黄昏月(たそがれづき):黄昏時の月。
- 残月(ざんげつ)・有明の月・朝行く月:夜明けにまだ残っている月。