5月5日は何の日?と聞かれたら……
ある家族がゴールデンウィークの計画中、こんな話になりました。父 「5月5日は何の日だ?」
息子 「男の子のお祭り!」
娘 「じゃあ、女の子は関係ないの?」
息子 「そう。だから柏餅食べちゃダメ~」
母 「そんなことないのよ。日本では女の子が主役だったこともあるんだから」
父 「気休めにテキトウなこと言っちゃいかん」
母 「本当よ。お父さんこそ、勉強しなさい!」
親の面子がかかるこの問題。お母さんの名誉にかけて、5月5日が何の日かについてお答えします。カレンダーを見れば5月5日は「こどもの日」。本来は「端午の節句」といいますが、時代によって5月5日の意味するものが違うので、簡単にご紹介します。
【INDEX】
古代中国発祥 ……「端午の節句」は厄祓いをする日
お馴染みの「くす玉」は端午の節句に欠かせない厄除けグッズだったのです!当時は菖蒲や蓬の茎や葉で玉を編み、隙間に花を飾り、五色の糸で飾っていました。。 |
年齢や性別を問わず災厄を祓う日で、蓬(よもぎ)で作った人形(ひとがた)を軒に飾ったり、粽を食べたり、菖蒲湯に浸って邪気を祓ったりしていたといわれています。
奈良・平安時代 ……宮中行事
中国の風習が日本に伝わり、宮中で五月の節会(せちえ)として菖蒲が献上され、蓬や菖蒲を丸く編んで五色の糸を結んだ薬玉(くすだま)を賜ったり、貴族同士で薬玉を贈りあう習慣もありました。日本古来 ……田植えに向かう女の祭り
5月は田植えの月です。昔は田植えは神聖な行事であり、若い女性(早乙女といいます)がその役を担い、田植えをひかえて一定期間不浄を避けて心身を清める「五月忌み」をしました。
ここに5月5日の端午の節句が結びついていきました。女性は菖蒲や蓬で屋根を葺いた小屋に前夜からこもって過ごし、菖蒲酒を飲んだりしながら穢れを祓い、神聖な存在になったのです。女の祭りとされ、女性にとっては堂々と過ごせる嬉しい日でもありました。地方によっては、「女の家」「女の天下」などという風習がみられます。
鎌倉~江戸時代 ……男の子の立身出世を願う日に変化
武士の力が強くなると、「菖蒲」が武を尚(たっとぶ)「尚武」や「勝負」に通じ、葉の形が剣に似ていることから、兜に菖蒲を飾ったり、流鏑馬(やぶさめ)をするようになり、江戸時代には鯉のぼりや柏餅も登場。江戸幕府が五節句のひとつに定めたことから、男の子が強く逞しく成長して立身出世することを願う行事として定着します。武者人形は子供の厄の身がわりでもあります。■鯉のぼりをあげる・飾る
⇒鯉のぼりの意味・由来・起源…なぜこどもの日に鯉のぼり?
■五月人形(武者人形、鎧兜など)を飾る
⇒五月人形、鎧兜の由来
昭和23年 ……男女の別なくこどもの幸せを願う「こどもの日」
昭和23年に、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」日として祝日になりました。男女の別はありません。こうして老若男女の厄祓いのため→女性のため→男の子のため→こどものため、と変遷してきたわけですが、この日をどうやって過ごしたらよいのでしょう? 5月5日といえばゴールデンウィークですから、他の年中行事よりも親しみやすい日ですね。そこで、誰もが楽しめる「こどもの日」「端午の節句」の過ごし方をご紹介します。
大人や女の子のみなら、季節を感じて心豊かに……
端午の節句を通して、日本の風情を楽しみます。別名「菖蒲の節句」と呼ばれるように、菖蒲湯、菖蒲酒、菖蒲枕など、菖蒲を用いて厄払いをする習わしがたくさんあります。粽や柏餅は季節の味。季節を感じて心豊かになるでしょう。インテリアの鯉のぼりを飾り、子供達の健やかな成長と輝く未来に思いを馳せることもできます。■菖蒲湯、菖蒲酒、菖蒲アレンジなどを楽しむ
⇒ひと把でこんなに!菖蒲活用術
女の子も、男の子もいっしょ。こどものために……
菖蒲湯、粽や柏餅など、昔ながらの風習を取り入れながら過ごしましょう。鯉のぼりに、女の子の分を足す家庭も多いです。いつもの食卓にひと工夫したり会話を広げたりするだけでも、こども心に届きます。また、「こどもの日」に向け男女を問わず楽しめるイベントを開催したり、特典を設けるところも多いので、お出かけ前に要チェック!■端午の節句の食べ物を味わい、菖蒲湯に入る
⇒端午の節句の食べ物・粽(ちまき)と柏餅の由来、菖蒲湯の楽しみ方
男の子がいるなら……
「端午の節句」の意をくんで、男の子ならではのお祝いをプラスしたいもの。グローバル社会の今、行事文化に親しむことは日本人としてのアイデンティティにつながります。幼い頃から伝統行事にふれておくと、大きなメリットになります。ゴールデンウィークに気をとられるばかりではモッタイナイ。ちょっと気に留めておくだけで、豊かなひとときになると思います。
【関連記事】