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地球温暖化とウイスキーや他の酒への影響

酒の肴にして欲しいのが温暖化。いま飲んでいる酒がどう変わるか、想像してみるといい。ウイスキーだけじゃなく、ワイン、芋焼酎にも触れた。いまを大事したいなら、温暖化に歯止めをかけなきゃね。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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イギリスがワイン生産国になるかも

温暖化でウイスキーに最も影響がおよぶのは樽熟成
温暖化でウイスキーに最も影響がおよぶのは樽熟成
10月末のこと、朝日新聞夕刊で温暖化とワインに関する記事を大々的に取り上げていた。酒に関する記事としては久々のヒットだった。
紹介していたのは、スペインのミゲル・トーレス社がピレネー山脈を仰ぐ、標高1千メートル近い高地でぶどう栽培をはじめたこと。シャンパンのルイ・ロデレール社は実験用の畑で、さまざまな畑から集めたピノ・ノワールの中から気候変動に強いタイプ(樹)を探っていること。またイギリスがワイン生産国になるかもしれない、といったコラムを織り込みながら、1面から2面にわたって特集されていた。

以前、メルマガで温暖化がウイスキーの香味にどう影響を与えるかを書いた。今回の記事では、わたしがこれまで酒類製造関係者の方々との無駄話のなかで、温暖化について語り合った部分を要約してお伝えする。皆さんもウイスキーを飲みながら想いを巡らしてみるといい。
とはいえ、これから平均気温が1度や2度上昇したからといって慌てることはないかもしれない。いまの飲酒世代にはまったく影響のないことかもしれない。3代、4代先のことかもしれない。でも、酒づくりは「ハイ、では次から変えましょう」とはいかない。いまから手を打っておく必要がある。

原料依存度の高い、ぶどう、芋に注目

まず、温暖化がすすんでいくなかで最も影響を受ける酒に、地域立脚型で原料依存度が高いワイン、ブランデー、芋焼酎などがある。とくにシャンパンや芋焼酎は製造設備・工程の自由度がほとんど取れないため、品質変化が起こり得る。芋焼酎を例にすれば製造工程が現環境に適化され過ぎていて、融通が利かなくなる面もあるのではなかろうか。熱くなると麹がつくれない。発酵が進み過ぎて奥行きのないシャブシャブ味になりかねない。
フランスワインなどAOC(原産地統制呼称)や畑の格付けといった現在の枠組みが崩れてしまってもおかしくはない。朝日新聞も指摘していたが、温暖化がすすめば“シャンパーニュが、いずれブルゴーニュのようになる”だろうし、イギリスのブリテン島南部がシャンパーニュのようになり、高品質のスパークリングワインを生み出すことになるかもしれない。
では、次頁でお待ちかねのウイスキーと温暖化について述べよう。つくりだけじゃなくって、飲み方まで変わってしまうかもよ。
(次頁へつづく)

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