ランチ/銀座・東京・日本橋・新橋のランチ

三島が愛した料亭の親子丼 末げん【新橋】(2ページ目)

新橋に店を構えてから今年で99年。鶏料亭の末げんはあの三島由紀夫が最後の晩餐をとった店としても知られています。ランチにいただける親子丼の味とは……?

菜々山 いく子

執筆者:菜々山 いく子

ランチガイド

挽き肉の親子丼の味

こちらの親子丼、お店での呼び名はかま定食。「かま」とはお釜のこと。板場での呼び名がそのままメニューになったそう。親子丼といえば、とろとろの半熟卵に大ぶりの鶏肉がゴロリと入ったものが近年の主流ですよね。そういう意味ではこちらの親子丼、ちょっと一風変わっています。


まず、メインの具となる鶏肉は、挽き肉。合鴨と軍鶏に地養鶏という放し飼いにされた鶏の3種を合わせ、なめらかになるまで2度挽いたものを使用しています。卵は奥久慈産の地卵。さあ、一体どんな味になるのでしょうか?

蓋付きの丼が運ばれてきました。蓋を開ける瞬間、つい胸が高鳴ってしまうのは私だけ? パッと蓋を開けると、湯気とともにあたりに立ちこめたのは醤油とみりんの甘辛い香り。日本人の最も愛する香りの一つだと思う。

この香りに誘われて、たまらず一口。「ん~おいしい~!」きっと誰もが頬ゆるめてしまうことでしょう。おつゆをたっぷり含んでいますが、ご飯を浸すようなことはなく、細やかな挽き肉と卵でおつゆをすべて抱え込んでくれています。それに卵のふわふわ感もたまりません。ご飯、卵、鶏肉の3者が口の中で混ざり合い、そしてサラリと喉を通って行くのです。

この料理は元々、料亭にくるお客さんの運転手さんやお付きの人に振る舞われたもの。鶏鍋に使われるつくねを使って作りはじめたのがきっかけだそう。もちろん、夜の料理と同じ食材を使用しているので、味は折り紙付きです。

これに、小鉢、香の物、そして鶏ガラを2時間煮だしたスープが付いて1050円。値段以上の幸福感を得られること請け合いです。


次のページでは、ランチメニューをもう一品。これまた絶品のから揚げ定食をご紹介!
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