文豪が最後の晩餐に選んだ料亭

人生最後の夜、あなたなら何を食べますか? 私なら……真剣に考えれば考えるほど、答えはみつかりません。もしかしたら食欲は失せ、震えているのかも……。

今回紹介するのは、とあるドラマチックな歴史を持つ鶏料亭、新橋 末げんです。

この店を最後の晩餐に選んだ人がいました。それは戦後日本を代表する小説家、三島由紀夫です。暖簾をくぐるとき、ちょっと背筋が伸びるような気がするのは、心のどこかでそんな過去に思いを馳せてしまうからでしょうか。

壁には総理大臣が贈った書

創業は明治42年。今年で99年目を迎え、東京を代表する老舗の一つ。玄関に飾られている当時の写真を見てみると、現在は賑やかな新橋駅前もずいぶん趣きが違うことが分かります。このお店をひいきにしたのは、三島由紀夫だけではありません。総理大臣や文化人、財界人まで名前を聞くと驚くような顔ぶれ。

壁には、由緒ありげな額がかざられていました。「敬天愛人」そして、左端には「為丸君 一郎」とあります。これを書いた「一郎」とは故鳩山一郎氏。総理大臣に就任した際に、先々代のご主人、丸さんに送られたものなのです。


伝統の味を守りつつ

現在、店を守るのは3代目の丸哲夫さん。写真からは柔和でおっとりした印象を受けますが、話してみると、一本筋の通ったチャキチャキの江戸っ子です。

伝統の味を受け継ぐのはもちろんですが、新たな試みもはじめました。それが、17年前からはじまったお昼の営業。「色々な方に料亭の味を知って欲しい、味わってほしい」という思いから。そこで考えだされたのが、このお店の名物ともなった、かま定食と呼ばれる親子丼。鶏料亭でいただく、親子丼の味とは……?


次のページで詳しくご紹介します。