黄金色で、つるりと飴がけされた湯島「花月」の「かりんとう」。見た目の美しさに加え、パリンカリン、と小気味よい歯応えで、食べる人を魅了してきました。金魚が描かれた夏季限定の風呂敷包みのかりんとう「涼」は帰省土産にもおすすめ。売り切れ御免なので、お急ぎを!

(目次)
P1 湯島「花月」のかりんとう
P2 飴がけのあられ「さざれ」と新作「いわおと」

飴がけ「かりんとう」の誕生話

花月

湯島の「花月」 下町の粋な店

遣唐使が伝えた「唐菓子」に始まるとも、16世紀頃に中国から伝来したとも、南蛮菓子の一種とも言われる「かりんとう(花林糖)」。江戸時代には既に庶民的な雑菓子(駄菓子、黒砂糖を使ったお菓子)として親しまれていたとされています。

今回お邪魔したのは、黒蜜をたっぷり絡めたお馴染のものとは違う、つるりと滑らかな飴がけのかりんとうで知られる湯島の「花月」。現在二代目の溝口智正さんと三代目の智広さんが店を守ります。

同店の職人さんのかりんとう作りは早朝3~4時にスタート。小麦粉と水、イーストを練った生地を室(むろ)で発酵させ、耳たぶ程の固さになったら伸して裁断し、油の温度の異なる3つの釜で順に揚げ、白砂糖をべっこう飴状に煮詰めたものを絡めます。くっついて大きな塊になったものを、飴が熱いうちに1本1本手で外せば、艶々のかりんとうの完成です。
かりんとう

「花月」のかりんとう 製法特許も取っていた 独自の製法による艶々の飴がけ。


ガラスのような質感の飴が均一にかかるかりんとうは、芯までカリッと揚がっています。歯を当てるとカリンッ、と小気味よい音がし、目の詰まったしっかりとした食感ながら、すーっと溶け、香ばしさと共に柔らかな甘さとコク、生地の旨味が広がります。
丸缶

味のある手塗りの丸缶。 かしこまった手土産にも使える。


昭和22年にビスケットやキャラメルなどを扱う、子ども相手の駄菓子屋として始まった同店。当時は黒、白の蜜を絡めたごく普通のかりんとうを作っていたそうですが、あるときうっかり、蜜を煮詰めて飴にしてしまったものを絡めたところ、美しく味も良いものが出来たとのこと。その後試行錯誤を重ね完成したものが、現在の「花月」のかりんとう、というわけです。

そういえば、フランスのりんごの焼き菓子「タルト・タタン」や、アメリカの「チョコレートチップクッキー」も、失敗がその誕生のきっかけだったとされています。いずれも「けがの功名」だけでなく、失敗だから、とすぐに切り捨てなかったからこそ生まれたもの。微笑ましいエピソードに学ぶところあり、とひとり頷きました。

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