そば/東京のそば屋

神楽坂・山せみ訪問記

最近蕎麦屋さんの集積が著しい神楽坂。この街のどまんなかで、のびやかな空間がうれしい手打ちの店。

執筆者:井上 明


やっぱり夏は、冷たいそばだ



これは、ちょっと前の出来事だ。甘酸っぱい梅の香りに包まれて、いつものように南高梅で梅干し作りにはげんでいたころ、作業にも飽きたので、ちょいと逍遙してみようかとぶらりと川っぺりに足をむけてみた。



するってえと、2009年の梅雨も、なんだかとっても変。なにしろこれが、梅雨のただなか、6月23日ごろの大川(隅田川)の様子。なんとなんと、上空には、爽やかな初秋の雲が高層に渦巻いているではありませんか。

梅雨のくせに(笑)、夏を飛び越して…(笑)。

大変でい!こんなことでは、今年の夏は冷たいそばにありつく前に終わってしまうかも、というわけで、どこか手近なところで冷たいそばが啜りたくなって、それじゃあてんで、あの町をめざしたという顛末。



そう、新旧の建物が長い坂道に沿って蝟集する、あの小粋な町、神楽坂へ。



懐かしい佇まいの毘沙門天さんをちょいとやりすごすと…



なんだか、お汁粉やらきんつばやら、甘味でも商っていそうな、小粋だけれども開放的なカマエ。だけれども、薄暮の街にあって、酔漢を妖しく誘い込むかのような魔力に満ちたオーラ。この絵柄を目の当たりにして、この場を無傷で通過できる勇者は何人いるのだろう。



少なくとも、その日の私は、完敗だった(笑)。
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