ヤマウズラに噛み付く
スコットランドで猟銃を使って仕留めたヤマウズラを、胸肉と腿肉に分けて火を通しフォアグラのポワレと合わせ、オレンジ色をしたカリフラワーで作ったピュレの上に盛り付けている。ソースは仔牛の出汁とヴィンサント(極甘口の白ワインの一種)を煮詰めながら、ヤマウズラの内蔵をつぶし混ぜたもの。長さんは「入荷したてのヤマウズラは意外に淡白な肉質なんですが、それを冷蔵庫でしばらく寝かせると、ウズラと似ていますがもっと濃厚な、野性味のある香りが楽しめるんです」と話す。しっかりと焼かれた胸肉はほっくりしており、重ねられたフォアグラの旨味のある脂肪分そしてピュレの甘味やなめらかさがよく合う。腿肉は赤味が濃く、それ自体がかなり濃厚な味わいだ。野生肉らしい香りがあり、同じキジ科の地鶏やウズラと似ているような、それでいてもっとワイルドな風味と食感である。これはもう、ナイフとフォークを放り出して、手づかみでかぶりつくのが一番である。軟骨や筋の合間に至るまで、隅々までソースと共に味わい尽くしてしまおう。「骨までしゃぶり尽くす」とは、まさにこの事か。
アマローネ『ストローパ』(モンテダッローラ) |