瑞々しい調和
ワイン造りも、小規模だが手間をかける。すべてのブドウを除梗(ブドウの粒だけにする)してから発酵させる。果帽(浮かんだ固形物の層)を棒で突いて成分を抽出する作業(ピジュアージュ)や、果汁を下からとって果帽の上から循環(ルモンタージュ)させる。作業の後は必ず発酵槽のふちについた果汁や固形物をきれいに拭き取る。発酵後の圧搾では、優しくじっくりと時間をかけてワインを絞り取る。ワインの味わいはどうだったか?
『プライベート・リザーブ』、『シラー』、『フォー・アポッスルズ』の2005年は全般に、高級ワインを目指した時にありがちな力強く凝縮したワインとは対照的である。新しいヴィンテージで色濃くフレッシュなのに、なめらかで瑞々しい。渋味も酸味も充分あるのだが、互いにとてもよくなじんでいる。またブドウがよく凝縮しているせいか、新樽だけで熟成させるというのに樽香を感じさせない。アルコール度数も13%と控え目で、全体にバランスよく調和が取れている。
さらに参考商品として『プライベート・リザーブ』の2004・2002年ヴィンテージが試飲に供された。2004年は比較的かっちりと渋味・酸味・スパイス香が詰まっているのに対して、2002年はよく熟成したヘーゼルナッツのような風味があり、どちらも穏やかでエレガントなスタイルである。