メインディッシュもたっぷり
ビストロとは、言ってみれば「肉や魚をもりもりと平らげる場所」でもある。若者やスポーツ選手あたりをこの店に連れてくるといい。『牛ほほ肉のコンフィ』がごろりと皿に乗っているのを見て「いいっすねえ」とか何とか言うに違いない。この店のメインディッシュは、結構多め。反対に「最近あまり食欲がなくて……おいしい物を少しずつ食べたいなあ」なんていう人には、あいにくこの店は向いていないかもしれない。ただし、ヨーロッパの雰囲気に慣れている人には嬉しいはずだ。自分でコートを掛けて、自分で選んだワインを自分で注いで、腕まくりでもしておもむろに肉と格闘するのである。そんな時に、ワインは語るものではなくて飲んで楽しむものである。例えば、フランソワ・アンリが造るラングドック地区のクラシックながっちりとした赤ワインを1杯所望しても、たったの650円である。ワインとともに牛ほほ肉が口の中でほろほろと崩れ、コクのある味わいを楽しんだあと、今度はお腹の中から血となり肉となるのである。
デザートまで、食べ切れますか?>>