さらに由緒正しきレストラン
セラーから階段を上り、レストランへ入るとその天井の高さそして壁面や天井の華麗な装飾が目に入る。誰もがしばし、天井を見上げたまま絶句してしまう。現在、このように贅を尽くしたレストランを再現することは出来ないだろう。この空間そのものに国宝級の価値がある。中央の大テーブルに着くと、「皇太子殿下のご一行は、このテーブルで食事をされたんですよ」と支配人。2004年5月に日本の皇太子殿下が、デンマークとスペイン両国皇太子の結婚式に出席された。その合間のポルトガル観光でこのホテルに2泊し、料理とワインを楽しまれたのである。ほかにホテルはいくらもあるのに連泊されたということは、宮内庁と皇太子双方がこのホテルの価値を認めての滞在に違いない。
豪奢なテラスと森林
クラシックな制服が似合うスタッフのサービスは、徹底して慎ましやかでありながら素朴な暖かさを感じさせる。今の時代にもう無くなってしまったかと思っていたような、この舞台、そしてこの役者。あたかも数十年前の世界にタイムスリップしてしまったような気分である。巨大なアーチの外にはさらに折り重なるように、テラスの屋根を支えるピンク色のアーチそして森が見える。高級レストランにありがちな尊大さや不自然な作法はどこにも見当たらず、若いカップル、そして年配の夫婦連れが静かに食事を楽しんでいる。たった64室という小規模ホテルならではのゆとりである。
ここでは、流れる時間のスピードと質が違う。
ワインを料理と合わせる>>