言葉より直感を
畑に行くにもシャネルの服を着て行くというラルー・ビーズ・ルロワはこう言った。「ワインの本質に等しい言葉などありません。ワイン自身が畑を物語るのです」ワインの神秘を語る優雅なマダムだが、彼女の純粋な情熱はことワインとなると一切の妥協を許さないのだ。専門家が比喩を並べてワインを語り尽くしたような顔をするのは、彼女にとってワインの高貴さに対する冒涜とも思えるに違いない。では彼女は果たしてどのような女性なのか?老舗ネゴシアン(酒商)のメゾン・ルロワで酒精強化ワインの輸出によって財を成したアンリ・ルロワは、1942年にDRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)の株式の半分を得た。1955年には娘ラルーがルロワに入社。アンリは1980年に他界し、娘のラルーとポリーヌが株式を半分ずつ相続。1988年にラルーは高島屋から18億円余りの資金援助を受けてドメーヌ・ノエラを購入し、ドメーヌ・ルロワを設立。現在、リシュブールを含む特級畑9か所に7ヘクタール近くを所有。ビオディナミやほとんど非経済的な低収量などあらゆる贅を尽くして、現在ではDRCに匹敵する高値をつける唯一の生産者となっている。
(Jancis Robinson編 "Oxford Companion to Wine" 2006より訳出・要約)
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