ワイン/ワイン関連情報

ニッポンのブドウで、ここまで進化した。(2ページ目)

この夏も、日本のブドウで造ったワインの実力が光る。夏の陽射しが暑い甲府で開かれた公開試飲で、国産ワインコンクールの受賞ワインを利き比べた。

執筆者:橋本 伸彦

半世紀を超えるチャレンジ精神

公開試飲会場では表彰式が行なわれていたのだが、ひときわ格好良かったのはピシッと背筋の伸びた林幹雄さん。長野県の塩尻市で『五一わいん』を造る林農園の社長だ。受賞姿もスピーチも堂々と、さすが日本の高品質ワインを造り続けて半世紀以上の重鎮である。

いまだ現場に出ているという事で、「彼が造るワイン」と言っても構わないだろう。これが旨いのである。まず2006年度の記事で紹介したような貴腐ワインが素晴らしいのだが、今年は『五一貴腐1999年』ヴィンテージが銀賞を得ている。シャルドネとセミヨンのブレンドで、たっぷりの甘味に、アールグレイを想わせる紅茶のような香りがある。

伝家の宝刀が冴える

桔梗ヶ原メルロ 東畑 2004
桔梗ヶ原のメルロはスタンダードキュヴェも2004・2005年が銀賞だが、金賞と最優秀カテゴリー賞を得た上級キュヴェの『東畑 2004』は秀逸である。香りは芳香をたたえ、土の香りや熟した艶やかな果実香もある。口に含めばまだ結構力強く、アルコールの温かみやブドウのスパイシーな風味を感じ、乾しプラムのようなしなやかな果実味が長い余韻に続く。

同じく金賞を得たメルシャンの『桔梗ヶ原メルロー2002年』の味わいにある調和と緻密さに対して、東畑はよりメリハリというか個性がハッキリ出ている。他にも、銀賞獲得したマンズワインの『ソラリス千曲川産メルロー2004年』には乾しイチジクなどドライフルーツの味わいがあり、余韻がかなり長かった。

カベルネもふくよか

『エステートゴイチカベルネ2004』
これも林幹雄氏が力を入れているというのが、カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンである。フラン主体の両品種ブレンド『エステートゴイチカベルネ2004』も銀賞である。さすがに『東畑 2004』ほどの完成度ではないが、なめらかで熟した果実味、心地良い種類の土の香りやスパイス的な香りもある。

これだけたっぷりとした味わい、もし目隠しで出題されたら国産と分かるだろうか? 今ならイタリアかポルトガルあたりだと思っても不思議はないだろうが、いずれライバルが多数出現すれば、日本のカベルネもさらに話題になることだろう。

他にも注目品種と生産者が満載>>
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