ハリウッドスター御用達伝説


スターがあなたのワインを買いに来るそうですが、と問われて「確かに以前、味が気に入ったからと有名俳優がシャトーを見に来られました。たまたま老婦人がケース入りのワインを重そうに車に積み込まれるのを見て、気さくに手伝っておられて。そうしたらご婦人、お礼にと10フラン札を渡そうとしたんです。彼は『僕はその百万倍くらいじゃないと契約しないんですよ』と冗談を言って、丁寧に断っていましたが……」とエピソードを語るのは、アラン・ブリュモン氏。

マディラン地区で最も広く知られる、シャトー・モンテュスとシャトー・ブースカッセを所有する生産者である。「ガスコーニュ地方」や「マディラン地区」「タナ種」という名前は、ワイン通でも知らない人が多かったものだ。それがここ20年でぐっと認知されるに至ったのは、この人の力によるところが大きい。
マディランのワインを有名にしたアラン・ブリュモン氏

ガスコーニュはフランスの南西部、ボルドーの南そしてトゥールーズの西へと細長く伸びる地方である。コニャックと並んで珍重されるブランディーのアルマニャック地域が中心に位置するが、その南に小さく隣り合わせるのがマディラン地区。タナと呼ばれる品種を使った赤ワインが造られる。(ブリュモン氏は『タナット』と発音すると述べたが、スペインに近いこの地方では末尾のTを発音するのだろう)

タナ(Tannat)の名はタンニン(tannin)に由来するというほど、色濃く渋いブドウだった。ワインは樽で最低2年熟成させ、瓶で数年寝かせないとおいしく飲めなかったマディラン。しかしやわらかい味わいを抽出し新樽や小樽で熟成させるなど現代的醸造でタナの魅力をアピールしたのが、ブリュモン氏である。

彼の来日セミナーで試飲したワインをご紹介しよう。

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