ワイン/ワイン関連情報

このワインに、十円玉を入れてみると……

『甲州きいろ香』開発にまつわる、風味のサイエンス。メルシャンが富永教授と「甲州」品種の共同研究。香りの成分を目印にして、このブドウの適熟期を探る。捜し求める味と香り、そのメカニズムとは?

執筆者:橋本 伸彦

魔術師とコイン

「はいそれでは、ワインに十円玉を入れてください」指示どおり、グラスの白ワインに十円玉を入れる。するとグラスの中に入れた十円玉が消えた! …のではない。消えたのはワインのアロマ。マジシャンでもイリュージョニストでもない、富永博士のレクチャーでよく見られる光景である。

富永博士がグラスに鼻を近づけて白ワインの香りをかぐ
注意深くワインの香りを評価する富永博士

富永敬俊博士は、ボルドー大学の通称「白ワインの魔術師」ドゥニ・デュブルデュー教授の下でワインの香りの研究をしている。研究成果の一部で、銅に吸着されて香らなくなる成分があることが分かった。それを実証するのが冒頭の実験である。ワインは当然飲めなくなるが、香りはがらりと地味に変わる。

この富永博士とシャトー・メルシャンが共同研究をしており、『甲州きいろ香』というワインにその成果が生かされている。2005年ヴィンテージの発売に先立って行なわれたプレス発表の様子をお伝えしよう。

富永博士の研究について≫
  • 1
  • 2
  • 3
  • 5
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます