香りと同じく茶の味を表現するのは難しいのです
お茶の香りの表現方法については、以前、比較的詳しくご紹介したとこですが、今回は、お茶の味わいの表現方法について考えてみるとにしましょう。
お茶の味わいを表現するためには、まず丁寧に淹れたお茶を口に含んで、味を感じることから始めましょう。その方法としては、茶をすくい口に含み、舌を使って口の中で茶を転がし茶湯を認識します。さらに花から息を抜き茶湯をゆっくり飲み込んで滋味を感じるのです。より味を明確に認識出来ることでしょう。
お茶の味の性質を知る
さて、お茶の専門家(インストラクターや茶藝師など)を目指す人は、基本的にはどのように淹れたお茶でも表現できるようになる必要がありますが、一般の人は、美味しく淹れていただいたお茶を飲んだ時に感想を言う程度の表現方法で十分です。その時にも、お茶の味を構成している性質を理解しておくと、表現するときに便利です。
お茶には様々な物質が含まれています。その物質には、実は様々な多様な味があります。その物質の持つ味が微妙にブレンドされ、そのお茶の味わいが構成されます。もちろん、淹れたときに、どの程度その物質の味わいが抽出されるかが決定しますから、お茶の入れ方が味にものすごく影響を持つことが判ると思います。
良く例示にだされるのがタンニンです。タンニンは、低温では抽出にくく、高温で抽出されます。タンニンには強い渋み味がありますので、渋味のコントロールには温度の高い低いが決定的に影響することが分かります。
お茶の成分としては、糖質(あま味)、カフェイン(苦味)、タンニン(渋み)、ビタミンC(すっぱみ=収斂味)、テアニン(アミノ酸類のもつ旨み)などさまざまな物があり、複雑に絡まり合っています。
そこで、良くお茶を飲むときに味わを感じるためのお茶の性質のポイントを掲げておきましょう。
1.刺激性
茶を吟味する場合、茶湯を口にしたときに舌や鼻腔でまず感じる感覚が刺激性です。
ちょっとわかりにくい表現かもしれませんが、つまり、味覚・臭覚の各細胞が茶を飲むことによって茶の味覚を認識します。その認識すること自体が細胞が刺激を受けたと言う意味で「刺激性」と表現されるのです。
この感覚は、あくまでも淡い感じですが、緑茶から紅茶まで飲み比べてみると、これらのお茶の違いを感覚として分かるようになります。刺激の受け方の違いと言うものがあり、たとえば、緑茶と白茶を比べると明確にその感じ方が違います。また紅茶も刺激性を比較的強く感じます。
刺激性は、それが強すぎても弱すぎでも良いお茶とはいえないところに注意が必要です。
2.コク
一般的にコクとは、その茶の濃淡、メリハリのようなことを意味しますが、口の中で舌を動かすとそれを認識することができます。
単純に濃い薄いというだけではなく、微妙にその味に影響する複雑な感覚とも言えるでしょう。
コクはどれだけ茶の成分が茶湯に溶けだしているかによってかなり認識の差が出てくるものです。コクがあるほど、湯から解けた物質が多く、茶湯の成分の含有量が高く味が良いとされていますが、もちろん渋み苦味が大量にとけだせば、それがおいしいお茶と言えるわけではないことは明らかです。
旨み、甘味、渋み、苦味が絶妙のバランスでしっかりと溶け出してこそ、コクを感じることができるお茶であると言えるでしょう。