タイの茶園で作られるお茶とは
タイ北部に広がる茶園
タイはラオス、ミャンマーなどと国境を接し、また茶の原産地である中国雲南省とも近いため、昔からお茶のルーツを探る研究などでは、タイ北部のアッサム種の茶樹などが研究の対象とされてきました。また漬物茶として知られる「ミエン」は、タイ北部のチェンマイの名産品としても知られています。
しかし、現在、タイの北部で作られるお茶といえば、このようなアッサム種の伝統茶に加え、台湾式の烏龍茶の方がより主流となっています。
タイにおける一年間の烏龍茶生産量は20,000トン、緑茶は2,500トン。そして、タイ北部のメーサロンには小規模な茶農家が約20ヶ所、メチャンには大規模なのが数ヶ所、メーホーソンにも茶農家があります。
その一帯で作られる烏龍茶は、一心三葉を手摘み、烏龍茶は発酵20%、清香製法で約36時間かけて製茶しているのだそうです。
タイで作られるおもな茶種としては、「金萱烏龍茶 台茶12号」、「軟枝烏龍茶」、「桂花烏龍茶」、「烏龍緑茶(金萱烏龍茶の茶葉を緑茶製法で焙煎)」、「緑茶(アッサム種/100%オーガニック)」、「茉莉緑茶(ジャスミン茶)」、「紅茶」などです。
これらのお茶は、それぞれの農家の規模等によって違いますが、国内消費に回されるものもあれば、台湾や各国に輸出されるものもあるといいます。 タイで台湾品種の茶が作られる理由 このように、タイでは現在台湾からの技術導入で台湾式のお茶が多く作られています。しかし、もともと、タイ北部と台湾の関係は非常に深く、台湾の茶技術が導入される素地がありました。
昔、中国で蒋介石率いる国民党が毛沢東率いる共産党に敗れた時代に、国民党のメンバーは中国から台湾を目指しましたが、その一部の人たちがタイの山奥に留まったといわれています。これらの人々は、タイ国籍を取得し、北部を中心に現在も生活しており、台湾へ渡った人たちとの交流もあったといわれています。
このような歴史的背景から、タイの北部では、以前から茶作りが行われるようになったのだそうです。
タイ北部に広がる茶園
実際にチェンライの山岳部を訪れると、町じゅうに中国語表記の店や看板があり、レストランも中国料理、話される言語も中国語であることに驚かされるのだそうです。
宮崎さんがお世話になっているCHOUIFONG TEA(Chaboomの茶園)の方は、中国の昆明からやって来た人だそうです。彼らは、約40年前、最初山岳民族のアカ族から少し土地を買い山に自生していた緑茶の栽培を開始、後に台湾の阿里山から持ち込んだ苗木で烏龍茶作りも始めました。現在では苗木のみならず、栽培方法、製茶技術、品質管理に関し、定期的に台湾から技術指導を受け、台湾と同品質のお茶を作っています。
このような理由でタイ北部は台湾と昔から繋がりがあり、台湾品種の茶を栽培しているのだそうです。
(写真提供:宮崎さん)