縄文時代の化石
浙江省で発見された5千5百年前の茶樹の根
(写真提供:李桂英氏)
2001年に中国浙江省余姚の田螺山で発見された5500年前のツバキ属の木の根があります。これはDNA鑑定が行われてはいませんが、もしかしたら茶樹ではないかと推定されています。しかも2棟の住居の間に植えられており、茶の油を使うなどの目的で植えられていたのではないかと発掘をしたチームは考えています。もし、これが茶樹だったら茶の起源や喫茶の歴史がさらに約4000年遡ると話題になりました。
一方日本では、1940年(昭和15年)に埼玉県岩槻市から茶葉と茶の実の化石が出土しています。
これは、約2800年前、縄文晩期の真福寺泥炭層遺跡から出土したものでした。特にこの茶の木の化石の面白いところは、発掘に当たった長谷部言人氏が「何らかの形で栽培されていた」のではないかと指摘していることです。
日本でも、かなり以前から、このように縄文時代の遺跡から栽培されたのではないかと思われる茶の化石が出土しているのは、注目に値するでしょう。
日本への茶の輸入は、空海などが茶の実を持ち帰ったのが初めてとされており、さらに、栄西などが中国より持ち帰ったものが、現在の茶の元とされているので、きちんと検証されれば、日本の茶の歴史も大きく変わってきます。
また、1938年(昭和13年)には、縄文時代の遺跡「余山貝塚」から、さらに1925年(大正14年)には、四国の徳島市にある浄水池遺跡で、縄文・弥生の境目であるといわれる泥炭層から「チャノキ」の化石が見つかっています。
縄文弥生時代に、このように人間の住む遺跡の近辺から茶が見つかっているというのはものすごく面白いことですね。
もし、この時代に「茶が利用されていた」のであれば、日本茶の歴史は大きく変わってくるかもしれません。かなり昔に見つかっている茶の化石ですが、サンプルが少ないことから、まだまだ茶の歴史の研究の材料としては、かっこたる証拠にはなっていません。更なる研究がまたれるところです。