中国茶指導「老師」資格とは?
中国茶文化研究会のある中国茶葉博物館
中華人民共和国の国家資格である「中国茶藝師」の資格は、今では多くの人が資格を取得しています。一方で、中国茶藝師資格の設置趣旨は、「国家職業標準茶藝師資格要項」によると、もともと中国国内での茶館経営における「従業員に対する職業能力の向上を期することを目的」とされるものです。
つまり、茶館を経営する者、あるいはそこで働く者の能力に大きな差ができないように、一定の標準に基づいて技能レベルをアップさせることに主眼が置かれているわけです。
したがって、中国国内で茶藝師の資格を取得するということは、日本国内ではその資格の効力を行使できず、資格取得の過程で身に着けた能力と中国国内で効力を持つ資格を取得したというステイタスのみにとどまってしまうわけです。
もちろん、日本では中国茶に係る統一的な資格があるわけではありませんので、茶藝師の資格を取得していることが、一定の能力を取得したことを外部に示す指標になることは事実ですし、もちろんそのために勉強することは、大きな意味があると思います。
一方で、そのような中国国内のみの資格の取得よりも、むしろ、中国茶に関する知識を教授する指導者として日本でも通用する資格の付与が求められているところであり、その一つの形として創造されたのが中国国際茶文化研究会(注)認定の「中国茶指導・老師(Chinese Tea Advisor & Instructor)」資格なのです。
中国国際茶文化研究会(杭州)
これは、「中国茶アドバイザー/インストラクター」と日本語では標記されますが、2006年1月1日に中国茶の魅力、楽しみ方、中国茶文化などへの理解を、一般に普及させる役割を担う指導者の育成を目的として設立されました。
日本語で中国茶の魅力、楽しみ方、茶文化を伝える、教えるなどの役割を担う能力に達したと判断され、所定の手続きなどを完了した方に付与される資格であり、中国茶を中心にしながらも、日本の茶文化をはじめ世界の茶文化にも一応の興味を持つことが望ましいと考えられています。そのため、中国での研修や試験も含め、日本語でカリキュラムが組まれています。
現在日本事務局は、XiangLe中国茶サロン(代表:工藤佳治氏)内に設置され、登録研修機関は現在国内全国に13機関存在しています。
(注)中国国際茶文化研究会
中国浙江省杭州市の中国茶葉博物館と同じ敷地内に本部を置き、中国茶文化の研究や海外との茶の交流、さらに中国茶の普及活動などを行なう研究会です。
主に、2年に一度開催される国際的な茶の会議の主宰を勤めるほか、毎年中国各地で数回に渡り、研究会を開催しています。さらに、「茶藝師」の資格創設に中心的な役割を果たし、茶館を経営するあるいは働く人たちの養成、レベルアップにも努めてきた機関です。