茶樹(さやまかおり)
茶の分類の細分化
茶樹王(雲南省シーサンパンナ) |
茶は植物分類学的に整理すると、大雑把に中国種とインド種に分けられます。さらに中間種も様々に存在し、それらの整理で混乱した状況にありました。これらを大きく4つの変種に分類したのは、インドで研究を行っていたイギリスの植物学者ワットです。
ワットは、1907年に茶の変種を4つに分類しました。さらに、オランダの植物学者コーンヘン・スチュアートがこれを整理・変更して、1919年に4つの変種に分けたといわれます。
それが現在主流の分類の基となった「中国種(Camellia Theifera var bohea)」、「中国大葉種(var macrophylla)」 、「シャン種・ビルマ種(var burmensis)」、「アッサム種(var assamica)」という分類です。
アッサムジャイプール茶園の茶樹 |
葉がきわめて大きく(20~30cm)、野生では樹高が20~30メートルにもなるインドのアッサム、マニプール地方に分布する高木で寒さに弱いのが「アッサム種」です。これは大葉種といわれるもので熱帯地方で紅茶用として栽培されています。
この2種類の中間の大きさを持った品種が「中国大葉種」、「シャン種」となります。「中国大葉種」は中国種よりは葉が大きく(12~14cm)、樹高5メートルに達するもので、葉の先端は丸く、中国の四川、雲南地方に分布します。また、「シャン種」は葉の大きさが16cmに及び、樹高4~10メートルに達するものでトンキン、ラオス、タイ上部、ミャンマー上部などに分布します。
また、1957年には、 W. Wight(ワイト)が茶をCamellia Sinensis var sinensis(中国種)、var assamica(アッサム種)、ssp.lasiocalyx(カンボジア種)に分類し、さらに、1958年にはJ.R.Sealy(シーリー)がツバキ属82種のうちの一つが茶で、それがCamellia Sinensis var sinensis(中国種)、var assamica(アッサム種)、f.macrophylla(中国大葉種)に分類されるとしています。
茶の多様性は、当然ながら3~4つの分類で収まるわけは無く、実際には雲南省をはじめとする中国西南地方で茶の近縁種が次々と発見(たとえばCamellia taliensis Melchiorなど)されていますし、近年では品種改良が進み、実際にタリエンシスとシネンシスの種間交雑が行われ、新たな品種として登録(おくむさしとタリエンシスを交雑させた「茶中間母本農6号」など)されたりしています。