中国茶/中国茶の基礎知識

茶の学名と分類(2ページ目)

茶はツバキ科の植物。学名はCamellia sinensisですが、どのように学名がつけられたのでしょうか?

執筆者:平田 公一


茶樹(さやまかおり)


茶の分類の細分化

茶樹王(雲南省シーサンパンナ)
その後の分類学上の整理は、Camellia sinensisの中のさらに様々な形態の探求に向けられました。

茶は植物分類学的に整理すると、大雑把に中国種とインド種に分けられます。さらに中間種も様々に存在し、それらの整理で混乱した状況にありました。これらを大きく4つの変種に分類したのは、インドで研究を行っていたイギリスの植物学者ワットです。

ワットは、1907年に茶の変種を4つに分類しました。さらに、オランダの植物学者コーンヘン・スチュアートがこれを整理・変更して、1919年に4つの変種に分けたといわれます。

それが現在主流の分類の基となった「中国種(Camellia Theifera var bohea)」、「中国大葉種(var macrophylla)」 、「シャン種・ビルマ種(var burmensis)」、「アッサム種(var assamica)」という分類です。

アッサムジャイプール茶園の茶樹
葉が小さく(4~5cm)丸みがあり中国南部から東部を経て日本に分布する低木で寒さにも強いのが「中国種」であり、小葉種とも呼ばれています。

葉がきわめて大きく(20~30cm)、野生では樹高が20~30メートルにもなるインドのアッサム、マニプール地方に分布する高木で寒さに弱いのが「アッサム種」です。これは大葉種といわれるもので熱帯地方で紅茶用として栽培されています。

この2種類の中間の大きさを持った品種が「中国大葉種」、「シャン種」となります。「中国大葉種」は中国種よりは葉が大きく(12~14cm)、樹高5メートルに達するもので、葉の先端は丸く、中国の四川、雲南地方に分布します。また、「シャン種」は葉の大きさが16cmに及び、樹高4~10メートルに達するものでトンキン、ラオス、タイ上部、ミャンマー上部などに分布します。

また、1957年には、 W. Wight(ワイト)が茶をCamellia Sinensis var sinensis(中国種)、var assamica(アッサム種)、ssp.lasiocalyx(カンボジア種)に分類し、さらに、1958年にはJ.R.Sealy(シーリー)がツバキ属82種のうちの一つが茶で、それがCamellia Sinensis var sinensis(中国種)、var assamica(アッサム種)、f.macrophylla(中国大葉種)に分類されるとしています。

茶の多様性は、当然ながら3~4つの分類で収まるわけは無く、実際には雲南省をはじめとする中国西南地方で茶の近縁種が次々と発見(たとえばCamellia taliensis Melchiorなど)されていますし、近年では品種改良が進み、実際にタリエンシスとシネンシスの種間交雑が行われ、新たな品種として登録(おくむさしとタリエンシスを交雑させた「茶中間母本農6号」など)されたりしています。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます