中国茶/中国茶館・茶藝館・カフェ

千年茶館

浮世を忘れた茶館へようこそ♪ 2003年4月、グランドオープンを果たした、東京白金台の茶館「千年茶館」。そこでは、時間の流れが緩やかで、甘やかな香りと清楚な味わいに酔うことができます。

執筆者:平田 公一

落ち着いた雰囲気の茶館でゆったり流れる時間に身を任せ、薫り高い中国茶を楽しみたい。誰しもそう思うにちがいありません。しかし、思いのほか、自分のイメージにマッチしたお店が少ないのが現状。

のんびりとお茶を飲みたいのに、隣のテーブルから聞きたくもない会話やざわめきが聞こえて来たり、お店の前に行列が出来て、それを横目で見つつ、居心地悪いなかで急いでお茶を飲まなくちゃという気分になってしまうお店では、ちっともリラックスしてお茶を愉しめません。

今回は、そんな和める茶館の一つ、東京白金台にある「千年茶館」を御紹介します。

週末だけプレオープンしている素敵な茶館があると聞いたのは、今年の頭ぐらいのことだったでしょうか。白金台の一軒家を風水をもとに改造し、庭には池と仏像が置いてある。そんな話しを聞いたときに、「果たして、お茶を飲む空間としてはどうなんだろう。」正直に言うとそんな感想を思い浮かべてしまいました。

最近の茶館といえば、中国趣味に走りすぎて、ドメスティックな私のような人間にとってはどうもそれだけで居心地が悪いと感じるようなお店もあったりします。だから、4月に正式にオープンしたと聞いても、ちょっと足が向かなかったのは、仕方がなかったのかもしれません。

とある土曜日に、京都から所用で戻ってきていた友人を迎えて、どうせならはじめての茶館を訪ねてみようと思い立って出かけたのが、その千年茶館でした。

メインストリートから一本裏道に入り、細い路地を曲がったとたん、2匹の狛犬が並んだ扉が現れ、門の奥正面に「館茶年千」という文字が目に飛びこんで来ました。

聞いていたとおり門をくぐると小さな池があり、それを回るように道が付けられており、左手に大きな仏像が鎮座しています。突然どこか違う国の路地裏にでも迷い込んでしまったような錯覚に陥ります。小さな池と仏像。本来なら妙に息苦しさを感じるはずなのに、その位置関係は、「迷い込んだ」という眩暈に似た感覚を飲み込んで沈静化させます。風水をもとに配置された微妙な風景。心の中に不思議を一杯抱えたまま、茶館のドアをくぐります。

ドアを入ると先ず目に飛びこんでくるのが、茶銘が書かれた朱色の大きな茶缶。そして二階へと伸びる螺旋階段。まるで階段を上るとそこには違う風景が広がっているのではないかと思わせる、その荘厳な作り。こんな大掛かりな舞台設定で迎えてくれる茶館は、今まで見たことがありませんでした。連れの友人もしばし、呆然と立ち止まって店を見渡していました。

ここで通常は二階に案内されるようです。私たちはたまたま二階が満席だったので、一階奥の一席しかないテーブルに通されました。そこは、本当に特等席。庭と不思議な店内を見渡せる静かな空間が天井に向かって広がっていました。

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