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明前東山洞庭碧螺春(2ページ目)

新茶の季節になりました。明前茶といえば龍井か碧螺春。今回は碧螺春を取り上げその製法や伝説から、独特の淹れ方まで探ってみました。ついでに新茶の碧螺春を買える店もPICK UP!

執筆者:平田 公一

碧螺春の伝説


碧螺春の名前の由来はいろいろあるようですが、一番有名なのが康熙帝名付けたというお話。

東山洞庭碧螺峰の石壁に数株の茶樹があり、地元の人たちは「嚇殺人香」(人を殺すほど良い香り)と呼んでいましたが、お茶好きで知られる清代の康熙帝が飲んで「一嫩(若芽)三鮮(色香味)」の優れたお茶であることに感激し、人を殺すという名前はそぐわないと、碧螺峰の山の名前にそのお茶のイメージ(碧(青緑色)螺(巻貝)春(早春に摘まれる、春を告げる茶))を掛け合わせて「碧螺春」と名付けたといわれています(清の時代に書かれた「野史大観」や「隋見録」に掲載。)。

しかし、実は「碧螺姑娘」と呼ばれるとても哀しく美しい伝説があるのです。ご存知でしたか?。


 昔、太湖のほとりに「碧螺」という歌の上手な美しい少女が住んでいました。彼女の声はとても美しく、湖畔の反対側の村に住む人々にまで聞こえていました。

ところが、彼女を見初めた太湖の竜神が、碧螺をその年の生け贄にせよ要求したことから村人達の悲しみは始まりました。村人の苦しみを無くし、碧螺を助けようと、太湖の反対側の村に住む青年「阿祥」は、その竜神と壮絶な戦いを繰り広げました。

七昼夜に渡る壮絶な戦いの末、阿祥が槍を竜神ののどにうち差し、決着が付きました。

しかし、戦いに勝った阿祥も生死に関わる怪我を負っていました。彼の心に打たれた碧螺は、阿祥を生死の淵から救い出そうと、山の中腹の急斜面に生えていたお茶を、茶葉が痛まないように唇で摘み、阿祥に飲ませました。

何度も茶葉を摘んで茶を作り、徹夜で看病した甲斐あって、阿祥は次第に回復していきました。二人がやっと恋を語り始めた頃、逆に碧螺は過労で倒れ、阿祥の腕の中で微笑みながら静かに行きを引き取り、帰らぬ人となってしまいました。阿祥は彼女を茶樹の隣に葬り「従来佳茗似佳人」と彼女を忘れられず、いつしかその貴重な茶樹は「碧螺春」と名付けられました。

他にも類似した伝説がこのお茶にはあります。「碧螺春ものがたり(かほりのAiya-Aiyoな毎日)」をご覧ください。

淹れ方のポイント

繊細で、美しい伝説も持ったこんな碧螺春。この茶は、茶葉が巻貝(田螺)のようにちぢれていますが湯を差すとちいさくきれいな芽茶が開きます。そしてフワァとした上品な香と味がします。こんなお茶ですから、できれば美味しく飲みたいですよね。

淹れ方は、あまり難しく考える必要はありません。ただ、普通の緑茶とちょっと違った「上投法」という面白い入れ方をするのが特徴です。こうして淹れた2煎目がおいしいのだとか。

茶器:
蓋碗でもガラスコップでも良いでしょう。茶葉の広がる様子が見られるので、ガラスの蓋碗などもお薦めです。太湖の近隣の蘇州でも茶壷を使った上投法が行われているとのことでした。

湯の温度:
緑茶の芽茶ですから、85度ぐらいにしておくと良いかもしれません。まろやかでお茶の甘味が感じられる温度は、高温ではなく低い温度です。

茶葉の量:
使う茶器によって異なりますが、180ccぐらいの蓋碗の場合は、3g程度で。

上投法:
入れ方の特徴として「上投法」を使います。上投法とは、湯で温めた茶器にあらかじめ湯を注いでおき、後から茶葉をさあと入れるやり方です。碧螺春のように細かくて芽の多いお茶は、茶葉に重みがありますから、このようにしても湯に茶葉が沈むのです。
上投法はこちらを参考に → 清香

蒸らし時間:
1煎目の目安は大体1分程度。2煎目はやや時間を長く1分30秒ぐらいで淹れてみましょう。湯の温度を徐々に下げたりして変化を楽しむのも面白いと思います。

お茶請け:
淡く甘味のある緑茶ですから、和菓子などとのマッチングが抜群です。乾燥フルーツなどもおすすめです。


 是非、皆さんもおいしい碧螺春を飲んでみてくださいね。


 2003年の新茶の碧螺春が買えるお店
  遊茶
 http://eshop.youcha.com/
  老地方茶坊
 http://www.wizard-jp.com/online/
 

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