安渓鉄観音というお茶の素性
鉄観音種という品種の茶樹で作られますが、独特の製茶法でほか「包揉」という布で包んで揉捻する方法によって、茶葉の香りをより引き出すことに成功したお茶で、その製法は、台湾にも受け継がれています。10年程前から安渓鉄観音茶の品質向上の為に、毎年、春茶(4月下旬~5月上旬)と秋茶(9月下旬~10月上旬)の茶王品評会がひらかれており、香港をはじめとする世界中に、最高級のお茶として出荷されています。
古式の安渓鉄観音は、比較的焙煎を強く作られており、さらに、香港の茶荘では、その茶葉を独特の焙煎で独特のお茶を作り上げるのです。近年の台湾茶ブームで、火入れの浅い「清香」系のお茶が人気であることから、ここ数年の鉄観音も焙煎の浅いものが非常に増えてきたように思われます。日本に入ってくる鉄観音も、そんなものが増えてきました。
いまでも受け継がれる伝統のお茶
そんな昔ながらの鉄観音をいまだに香港で作り続けているのは、九龍の「茗香茶荘」(香港九龍九龍城候王道77號)。文化大革命の頃、大陸から香港に渡ってきた陳さん一族が経営する茶荘で、もともと祖父の代から茶を商う商売をしていたそうです。グルメの達人である蔡[シ蘭](チャイラン)さんも贔屓にするお店で、炭火焙煎した鉄観音や普[シ耳]茶などを取り扱っています。とくに、ここの、「冠軍茶王」「炭火精選鉄観音」等の優れた鉄観音は、質と価格のバランスも非常によく、コストパフォーマンスのとても良いお茶と言えるでしょう。香港らしい名品です。こんなお茶を入手できる茗香茶荘は、最近の見かけばかり奇麗な香港の茶荘とは一線を画す、すばらしい老舗茶荘です。
今年もおいしい秋茶の冠軍茶王が届きました。味と香りのバランスが絶妙なこのお茶を飲まないと、なんとも秋茶を飲んだ気がしないと最近では思ってしまうようになりました。是非、皆さんも秋の鉄観音、存分に満喫してみてください。
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□ 老地方茶坊
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□ バンブー茶館
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