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見立ての楽しさ 龍井のカタチ

龍井茶には、さまざまなランクがありますが、極品、貢品といわれる最高級クラスのお茶は、さまざまなものに見立てられて表現させています。その見立ての妙をご紹介しましょう。

執筆者:平田 公一

清明節も終わり、明前茶も一段落のこの頃ですが、皆さん、おいしい龍井もう飲みましたか?
一口に龍井茶といっても杭州の中ではおいくつかの地域に分けて作られていますし、またそのお茶のランクや形の違いなど、さまざまです。今回は、この龍井の形についてとりあげてみました♪

 
獅峰龍井の茶畑


龍井茶の様々な形

春の中国緑茶の代表選手といえば、「緑色皇后」と呼ばれる浙江省杭州の銘茶龍井茶

色、香り、味に優れ、形が美しいことから「四絶」(しぜつ)とたたえられていますが、釜に押し付けるようにして作られる扁平なお茶で、その香ばしいナッティーな香りと深い味わいからファンが非常に多い有名なお茶です。

杭州の有名な湖、西湖周辺で作られるので、西湖龍井(シーフーロンジン)と呼ばれることが多い龍井茶ですが、茶畑は、その杭州のあちこちに点在しています。もっとも有名なのが獅子峰産のもの。山の急な斜面に小さな茶畑でつくられる龍井は明前茶の代名詞とも言われ、「獅峰明前龍井」(しほうみんぜんろんじん)という名前は、中国茶通で知らない人はいないほど有名です。

また、その周辺には梅家[土烏](ばいかう)、五雲山(ごうんさん)、虎包(こほう)などの茶畑が点在してます。

これらの龍井は、気候、環境と加工技術の差により品質が違い、また、摘まれた茶葉の形態などで区分がされています。特に製茶後の茶葉の形を物にたとえて「蓮芯」、「雀舌」、「槍旗」などの呼び名が付けられているのです。

蓮芯(ユエンシン)


蓮の実の芯


蓮芯龍井

蓮芯とは、蓮の実の芯のような形をしている龍井茶という意味で、嫩芽(みるめ:若い芽を意味します。)の部分だけを丁寧に摘んだ最高級の龍井茶です。しかも、嫩芽が出始めるのが3月中旬以降のこと。清明節前にこの芽の部分だけを摘んだ獅峰明前龍井は、生産量が非常に少ないので、ほとんど市販されていません。味わいも、茶葉の味が抽出されることがないため、非常に淡く、濃いお茶が好みの方には物足りなく感じるかもしれません。しかし、通好みの茶といわれ、1斤(500g)何十万円も出して買っていく人もいるほどの銘茶です。

蓮芯と似ていますか?

旗槍(チーチアン)

旗槍龍井 旗槍は、読んで字のごとく。旗と槍の形を表現した名称です。つまり、芽の部分を槍に見たて、葉の部分を旗と見たてて、茶葉を旗と槍が一緒に並んでいる姿を表現した呼び方です。蓮花とは異なり、一芯一葉で摘んだ茶のことを「旗槍龍井」と呼ぶのです。

また、葉の成長が一定程度進んだ段階で茶摘が行われますので、蓮芯よりも若干後、清明節直前ぐらいに作られることが多いといわれています。特に、1985年以降に龍井を作り始めた西部地区の龍[土烏]郷(りゅうう)は、この旗槍龍井を作る伝統的な茶区となりつつあります。
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