二十四節気の春の季節
さて、この二十四節気のうち特に中国茶文化の中で取り上げられるのが、春の季節です。春は初春(2月頃)の立春(寒さがあけて春にはいる)、雨水(積った雪や氷が溶け始め、雪も雨に変わる)、仲春(3月頃)の啓蟄(冬篭り(蟄)していた虫が穴を啓(ひら)きでてくる)、春分(昼と夜の長さが等しくなる)、そして晩春(4月頃)の清明 (南東風が吹き始め心地よくなる清浄明潔の略)と穀雨(雨の降る日が多く田畑を潤す:種蒔の好期)というふうに分かれていますが、特に晩春は茶摘みの季節に丁度当たるのです。
お茶の季節
例えば毎年4月5日頃は清明節(せいめいせつ)。この清明節前後に摘まれたお茶が、昔から極上茶とされてきました。特に清明節の前に摘まれたお茶を「明前茶(みんぜんちゃ)」と呼び、非常に高級な走りのお茶として今でも珍重しているのですが、この時期のお茶は小さな芽に養分がしっかりと蓄積されたお茶ですから、香りも味わいも非常に爽やかで、希少価値と実際の美味しさが極上品を生んでいるわけです。最近では、清明節よりも15日ほど前の春分前に摘まれるお茶もあり、「分前茶(ぶんぜんちゃ)」等と呼ばれています。しかし、これなどは殆ど日本には入ってきていません。
また、4月20日前後の穀雨を堺にお茶の出来も変化してくるということで、清明節を過ぎ穀雨前までに摘まれたお茶を「雨前茶(うぜんちゃ)」、そして穀雨の後に摘まれた茶を「雨後茶(うごちゃ)」と読んでいます。
清明節を過ぎた頃に摘む雨前茶は、明前茶よりも育った芽や葉を製茶しますから、味わいにもボディーのあるお茶が増えてくるのです。そして雨後茶は、晩春あるいは初夏に近いお茶として、その価値もだんだん下落して行くわけです。
そして暦が夏に入るころ、その年の春茶の収獲は終了し、それ以降は紅茶などの生産に移っていくのです。お茶を口にするとき、ふと、こんな季節の移り変わりに思いを馳せてみると、お茶の味わいもまたひとしおですね。
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