紅茶/紅茶関連情報

「べにひかり」と紅茶用品種

野菜茶業研究所一般公開レポート2回目として、日本における紅茶栽培と紅茶用品種についてご紹介します。

桑原 珠玉

執筆者:桑原 珠玉

紅茶ガイド

アッサム系の「べにひかり」。
前回ご紹介した野菜茶業研究所 金谷茶業研究拠点一般公開、 紅茶手造り体験レポートより、第2回目は紅茶の品種と国内の紅茶生産についてお届けします。

紅茶の手造り体験で今回使用したのは「べにひかり」というアッサム系の紅茶用品種。幻の品種ともいわれるこの品種は野菜茶業研究所の枕崎茶業研究拠点で1952年に生まれました。紅茶用品種として最初に交配で育成された「べにかおり」と中国系の品種から育成。1969年に農林水産省により茶の品種登録がされ、国内で盛んに栽培されることが期待されました。

ところが、1971年に紅茶輸入が自由化され、外国産紅茶に圧倒されてしまい、「べにひかり」は脚光を浴びることなく静かに時が経過するのを待つこととなったのです。

「べにふうき」の茶園。
近年 日本における茶栽培地では、日本の地にあった紅茶用品種をもちいて紅茶が作られるようになっており、「べにひかり」は鹿児島や埼玉県といった主要茶生産地で紅茶用に生産されるようになりました。さらに、「べにほまれ」、「ただにしき」、「べにふうき」、「べにかおり」、「べにふじ」など、生産地によって栽培環境や、求める個性によりさまざまな紅茶用品種が栽培されています。


これまでは、緑茶栽培地で、緑茶用に生産されている茶葉を用いて紅茶も作るというケースが目立っていましたが、全国各地でバリエーションに富んだ紅茶が作られるようになっています。国産紅茶は国内消費を目的にしてつくられており、ストレートでお茶を飲むのが一般的な私たちに飲みやすい、渋みの抑えたまろやかテイストが主流ですが、濃いめに入れてミルクティーにしても合うような紅茶もあります。国産紅茶の多くが、生産者自らが販売しているケースも多く、生産者の顔が見える紅茶として安心して飲める紅茶ですね。

■協力: 野菜茶業研究所 佐波 哲次氏
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