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アイデア*パン料理コンテスト

1本のバタールからこんなにたくさんの温かい、愛嬌のある、サプライズのある、そしておいしい料理が生まれるとは。日本パンコーディネーター協会が主催したパン料理コンテストで最終審査に残った作品をご紹介。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

バタールを使った料理コンテスト

2010年4月23日、日本パンコーディネーター協会は「第一回アイデア*パン料理コンテスト」を開催しました。パンコーディネーター資格保持者から応募のあった72作品のうち、実技審査に臨んだ6名の作品をご紹介します。

作品の規定は、全国展開しているパン屋さん「ドンク」のバタールを用いたパン料理(パンと料理が接着している料理)。店で購入したバタールをどのように美味しく提供するかがポイントとなりました。

審査員(敬称略)は稲垣智子(日本パンコーディネーター協会)、豊田実(日清製粉株式会社)、藤吉久美子(女優)、野澤孝彦(コンディトライノイエス)、奥野昭一(オリエンタル酵母工業株式会社)、川口淳太郎(株式会社ブルーブ)、清水美穂子(ブレッドジャーナリスト)。

審査では、バタールならではの特長を活かし、素材とのペアリングを考え、余すところなく使いきった作品がより高い評価を得て、グランプリ、準グランプリが決定しました。

グランプリ作品「かりひやもっちりタワー」

愛知県の伊藤真由美さんの「かりひやもっちりタワー」がグランプリを受賞しました。

かりひやもっちりタワー
(写真提供:日本パンコーディネーター協会)

温かいパンペルデュ(フレンチトースト)の上に、クッキーとアーモンド、マスカルポーネを入れたバニラアイス、仕上げにガリガリのコーヒーラスク。

一見シンプルな料理ですが、温冷、硬軟、甘苦、といった食感と味わいのコントラストが面白く、立体感のある組み立てが楽しいアイデア作品でした。 さまざまなカットを施したバタールを余すところなく使ったところも優れていました。伊藤さんはパンコーディネーターエキスパート。愛知県東海市でパン教室を主宰されています。

バタールでなければならない作品、というところが高ポイント

準グランプリ「春のバタール茶懐石」

準グランプリは茨城県の宮内りりさんの「春のバタール茶懐石」。

春のバタール茶懐石
(写真提供:日本パンコーディネーター協会)

審査員席に、お品書きが配られました。

汁 葱と椎茸のスープ
向付 海鮮と果物のお造り風 バルサミコオイル
煮物 野菜とチーズのテリーヌ 栗のはちみつがけ
焼物 鮪のソテーと蓮根サラダ
預け鉢 牛肉のグリル 赤ワインソース
吸物 魚介スープ
八寸 牡蠣燻製の香草バター ウサギのテリーヌと杏
香の物 葱のマリネ トマトのマリネ
菓子 桜アイスと苺のジェラート 黒胡麻餡最中風

ファイナリスト6名の中で最も手間がかかるチャレンジングな作品でした。1本のバタールをコース仕立てにする斬新さ、パンコーディネーターならではの、素材のペアリングが評価されていました。

左から準グランプリの宮内さん、グランプリの伊藤さん

その他の4作品

受賞はなかったものの、最終審査まで残った4作品を順不同でご紹介します。

■カラダヨロコブ春の彩りヘルシープレート 濱薗市子さん(大阪府)

カラダヨロコブ春の彩りヘルシープレート
動きが美しい濱薗さんは大阪のパン屋さん、Le Pain de douxにお勤めです。

赤はミネストローネの具、緑は菜の花、こごみ、アスパラ、芽キャベツ、スナップえんどう、黄は豆乳ベシャメルソースとカボチャ、ズッキーニにミニトマト。目にもおいしいタルティーヌにはヘルシーな野菜料理が生きていました。カフェメニューにそのままつかえそうな逸品でした。

■♪ハニートーストだワン♪ 足立美奈子さん(神奈川県)

♪ハニートーストだワン♪
犬のモデルは家族の愛犬。愛嬌のある顔に思わず笑ってしまいます。

庭のローズマリーで香りづけしたハチミツバターが絡まったバタールはすばらしい香りでわたしたちを魅了しました。お子さんのために、よく作られているという愛情のこもったハニートーストです。

■たこ焼き風パンキッシュ 高林秀美さん(神奈川県)

たこ焼き風パンキッシュ

たこ焼き器で作る家族団欒メニュー。バタールたこ焼きの中にはベーコン&チーズやオリーブ&アンチョビが入っています。フィリング(中身)のアイデアは無限大なのです。

■pain perdu japon(パンペルデュジャポン) 佐藤正行さん(岩手県)

pain perdu japon(パンペルデュジャポン)

お年寄りや幼児にもやさしい、消化の良い茶碗蒸しはエビや白子などの豪華な素材と、そしてもちろんバタール入り。滑らかな食感、三つ葉やショウガで香りも良くまとまっていました。

バタール1本から

バタール1本から、こんなにいろいろの料理が作られて、それが家族をはじめ、自分の大切な人たちを楽しませるためのものであることがストレートに伝わってきて、とても温かいコンテストとなりました。

パンコーディネーターにはお母さんも、パン屋さんにお勤めの方も、お教室の先生も、いろいろな立場の方がおられるわけですが、それぞれが一つのバタールに自分ならではの想いをのせて、食卓のシーンを与え、コーディネートしていったのです。これからの時代の食事パンに、素敵な可能性を感じました。

(敬称略)手前左から足立美奈子、濱薗市子、宮内りり、伊藤真由美、佐藤正行、高林秀美。奥左から審査員、野澤孝彦、川口淳太郎、藤吉久美子、稲垣智子、豊田実、奥野昭一、清水美穂子 (写真提供:日本パンコーディネーター協会)


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【関連サイト】
日本パンコーディネーター協会
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