ブリオッシュとクロワッサン
10℃で一晩発酵させ、そのまま分割、成形とスピーディーに作業を進める「ブリオッシュ エポートル」、こねすぎないことがコツで、ミキシング時間を短くし、18層に折り込んだ「クロアッサン エポートル」は、どちらもスペルト小麦100%でつくられたヴィエノワズリです。志賀さんは言います。「こうしたリッチな配合のパンは、必ずしもスペルト小麦でつくることを求められるとは限らないけれど、ここまでできればスペルト小麦でつくれないパンはない、ということになりますね」
講義をする志賀さん |
ブリオッシュ エポートル | クロアッサン エポートル |
志賀さんは繰り返し、データやマニュアルではなく、自分で生地の状態を見て考えることを薦めます。「これで捏ね上げ」、「これで分割にいける」とひとつひとつ確認することが何より大事だし、それが職人の技術力となる、ということです。
スペルト小麦のパンドミ
スペルト全粒粉を20%入れたパンドミは、レーズンの液種1.5%とホップの液種2%(インスタントドライイーストで換算すると0.03%)でつくられます。出来上がりは酵母の香りが抜けて、焼けた小麦の香りだけが残ります。パン ド ミ |
「たぶん皆さんが見たことがない丸め方をします」と志賀さんが実演した成形は、二つに折って、たたんで、締めて、押しつけて、丸める方法。これで、荒れているところがないふっくりとつややかな玉になります。これをふたつ、型に入れて焼くのです。
これは、グルテンの少ない、つながりにくい粉を扱うドイツのパン屋さんの丸めかたで、ベタついて丸めにくい、スペルト小麦の生地に適しています。志賀さんは師匠、故福田元吉さんに習われたのだそうです。
パンコーディネーターの昼食
セミナーの合間の昼食は、日本パンコーディネーター協会らしい、スペルト小麦のパンに合わせたメニューが並びました。サラダ、ハム・マリネ類、スープ、自家製ディップ、チーズ、バター、ハチミツなど、ランチメニューの数々 |
ディップは協会の稲垣智子さんのレシピによる、アボカドのタルタル、黒ごまとはちみつ、ゆずとマスカルポーネ、ネギと豆腐、ドライトマトとグリーンオリーブ。ココットに入ったのが一口ずつ試食できるようにセッティングされていました。
チーズはマスカルポーネ、ゴルゴンゾーラ、タレッジオ、ペコリーノ・ロマーノとお馴染みのチーズに加え、日本初の珍しいカサディカ・ディ・ヴーファラを試食。これは水牛のブリーともいわれ、水牛のミルク100%で作った白カビチーズです。
日本パンコーディネーター協会では、製パン技術者やメニュー開発担当者に向けて今後もこのようなセミナーが予定されています。詳細やお問い合わせは日本パンコーディネーター協会のサイトをご覧ください。
スペルト小麦についての詳細、お問い合わせは、西尾製粉 スペルト小麦の教科書をご覧ください。
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