志賀勝栄氏の新しいお店

三軒茶屋と池尻大橋のあいだ、三宿にこの秋、志賀勝栄シェフの新しいお店がオープンしました。パンだけでなくワインとチーズのテイスティングもできるお店です。(※2015年12月のリニューアルでテイスティングスペースはなくなりました。2016.1追記)

パン売り場の奥はワインセラー。手前はチーズのショウケース。 店の外観。夕暮れ時に明かりが灯るといい雰囲気。半地下になっている。

シニフィアン・シニフィエ。
呪文のような響きをもったその店名を直訳すると「意味するもの・意味されるもの」。哲学の言葉では、シニフィアンは「誰もが共有できる事実」を、シニフィエは「個人的なイメージ」のことを表します。

それは、常に新しいものを追求し創造していくことを大切に考えている志賀さんの、パンづくりの姿勢を表す言葉でもあるようです。

店名の頭文字SSのクープの入ったパン オ ヴァン 300円/100g 志賀勝栄シェフ。後ろはルクセンブルク、ハイン社のオーブン。
パン オ ヴァンの断面。煮詰めた赤ワインとスパイスで仕込んだフィグ、アーモンド、ピスタチオ、クランベリー、クルミ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツの総量は粉より多く、ずっしりと芳醇なフルーツケーキのよう。プティサイズ260円。 (*パンの価格は原材料によって随時変動します)

物語のあるパン

アルトファゴス、ペルティエ、ユーハイムなど、志賀さんが今までシェフをつとめてきた店のバゲットはいつも話題になりました。
それは、誰もが考えるおいしいバゲット(シニフィアン)の中にあって、イーストの量を普通のそれの1/20に押さえ、長時間発酵をとる製法など、彼ならではの概念や物語(シニフィエ)も持っているバゲットだったからかもしれません。

バゲット(上)はオーガニックの小麦粉を配合、海洋深層水を使っている。フランス小麦のバゲット デュ ジュール(下)は比較的軽い食感。

なにやらいろいろ解釈ができそうな名前を持つこのお店。
訪れる人それぞれに、パンを通して伝わる物語があることでしょう。

次のページからは、その物語の序章となりそうなこと、 シニフィアン・シニフィエのパンと、パンを味わうために用意された愉しみについてお伝えしていきたいと思います。