パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

アルチザン ブーランジェ クピド!【奥沢】(3ページ目)

旬の果実の酵母、何種類もの小麦粉から選び、職人の手で焼き上げたパンは料理に負けない存在感を持つけれど、その料理をつくるのもパン職人。「パンは人生を楽しくする」と思わずにはいられない素敵な店をレポート。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

クピド!のバゲット

取材の日、まだお昼前というのにバゲットが売り切れていました。時々そんなこともあるのだとか。絶対に欲しい場合は予約がいいかもしれません。

次に焼きあがったバゲットは上野毛にあるワインブティック、ヴァンサンテの特注品。写真でカウンターに並ぶ小ぶりのバゲットの他に、もう1種の変わりバゲットは、タイプ65の小麦粉を100%使用し、ジョゼフ・ドルーアンのワインを練りこんだというこだわりの逸品。そんなパンを置く ワイン屋さんにも興味がわいてきます。

お昼過ぎにようやく焼きあがったバゲットトラディション(245円)は フランス産小麦70%、国産小麦20%、カナダ産石臼挽き粉10%、ドライイーストと自家培養サワー種併用の品。そんなプロフィールを知る前から美味しいとわかる、香りとルックスの優れたバゲットでした。

焼きあがったワインショップ特注のバゲット。手前ではオーダーの入ったパテドカンパーニュを切り分け中。 
バゲットトラディション

クピド!のブーランジェ

東川さんが料理人からパン職人に転向するきっかけとなったのは、フランスで食べた美味しいクロワッサンでした。その衝撃、好奇心からパンの道へ。ドミニクドゥーセ、コルドンブルーなどを経て10年。「料理を圧倒するパンをつくりたい」という東川さん。確かに「パンばかり食べてしまいそう」なパンを焼いています。

しかしもとは料理人、カンパーニュを旬の果物や野菜の酵母で焼いているのは、料理的なアプローチの面白さから?と思って尋ねれば、「種由来の味を残しつつ、製法を工夫する面白さですかね。やってやったぞ!という感じ。目に見えないものを育てて、目に見えるものにしていく過程にはまりました。突き詰め甲斐があります。今は国産小麦でフランスのパフォーマンスが出せないかなと思っています。10月半ばに国産でカンパーニュを販売する予定です」とのこと。楽しみです。

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