ル・ルソールの美しいパン
洋菓子店のショウケースと比べれば単調な色の並ぶパン屋さんで、真っ先に目を奪うな魅惑的なパンには造形美、あるいはかたちの面白さがあります。ル・ルソールの「パンブリエ」は美しいパン。きめ細かで重量感のある生地はベーグルにも似ているのだけれど、生クリームやバターが入り、日持ちもいい。船乗りが航海に持っていくパンなのだそうです。ためらいながらもナイフを入れて薄くカットして、チーズや季節のジャムを合わせれば至福のひとときが待っています。フィグのパンもまた、この店のものは特別きれいな形をしているように思います。味のことをいえば、ル・ルソールのパンはどれをとっても秀逸です。
食感と味わいが珍しく、リピートして買ってしまうのは「いもパン」。サツマイモのデンプン質でムチっとしたポンデケージョのような食感ですが、ほんのり甘いおやつパンです。
パン ブリエ |
パン オ フィグ | いもパン |
ル・ルソール【駒場東大前】
as Leafのコーディネートを考えるのが楽しいパンとお値打ち料理パン
as Leafの「石窯ライ麦粒のパン」は食材とのコーディネートを考えるのがとても楽しいパンです。サンドイッチにしたり、トーストしたのをちぎってオリーブオイルにディップしたり、好きなおかずをのせてタルティーヌにしたり、そしてもちろん、料理に添えたりと、愉しみかたのバリエーションでは食パンに勝るかもしれません。このパン、もとはとても大きななまこ型をしているのを、スライスして販売しています。トマト&チーズは一見シンプルですが、手間のかかっているパン。店内厨房でつくられるセミドライトマトがたっぷり、モツァレラチーズとともに包まれています。自家製セミドライトマトのいいところは、トマトの味が果実のように濃縮されて、味覚を愉しませてくれるところです。
石窯ライ麦粒のパンとオリーブオイル(Bread Journalより) |
ハムとルッコラをのせて | トマト&チーズ |
as Leaf(アズリーフ)【田端】
ダンディゾンのシェフの想い出のパン
この夏、食通のかたに日々のパンの愉しみについてインタビューする活動を始め、勧めていただいた食べ方を試みる機会が増えたのですが、ダンディゾンの淺野正己さんの想い出の味「ユゼス」は、今まで食べたことのない味わいが強く印象に残ったパンでした。豚の脂肉の塩漬けをローストして、店独自のフガス生地に練り込んであり、丁寧な料理の仕事を感じます。軽やかな食感、香り、塩気がアルザスの白ワインやビールに合います。ユゼスとアルザスの白ワイン、ゲヴェルツトラミネール |
ダンディゾン【吉祥寺】(2003年の記事)
印象に残ったパンは次のページに続きます。